フェルナンド・ボテロは、1932年にコロンビアのメデリン（メデジン）に生まれた芸術家です。メデリンには美術館のような伝統的な芸術資産はなかったものの、植民地時代のバロック様式の教会が残り、その都市生活と環境が後の作品に大きな影響を与えました。20歳の頃画家を目指して渡欧したボテロは、マドリード、パリ、フィレンツェに滞在。プラド美術館やルーヴル美術館に通っては巨匠たちの技巧を学び、古典技法を研究します。中でもピエロ・デラ・フランチェスカのフレスコ画から大きな影響を受け、それはボテロの絵画の規範となっています。

ボテロの作品には静物画や風景画も存在しますが、肖像画を最も重視する傾向にあり、「ボテリスモ」というスタイルで人物や対象物を大きく誇張されたふくよかな体型で描き、時に政治的批判やユーモアを交えて表現しています。1973年からは彫刻も制作するようになり、80年代にはミケランジェロが大理石を掘り出した採掘場があるフィレンツェのピエトラサンタにアトリエを購入します。そこには最高の鋳造所があり、彫刻素材としてブロンズを好むボテロには好環境。その地で200点以上の作品を生み出しました。「最もコロンビア人らしい芸術家」と呼ばれるボテロの作品はヨーロッパをはじめ世界各国に展示されており、日本では東京や大阪で彫刻作品に触れる事ができます。