ART GENRE

美術ジャンル

ジャンル 内容 代表的な作家
アウトサイダー・アート(outsider art:英)/アール・ブリュット(art brut:仏) 英語でoutsider=部外者の、フランス語でbrut=生の 芸術という意。いわゆる美術教育や既存の伝統・文化、流行などの影響を受けずに自発的に表現された作品。1940年代に ジャン・デュビュッフェにより考案された。 /同じようなジャンルとしては ナイーヴ・アート(素朴派)/フォークアート など。 ヘンリー・ダーガー(Henry Darger)/マッジ・ギル(Madge Gill)/フリードリヒ・シュレーダー・ゾンネンシュターン/山下清  など
アール・デコ(仏: Art Déco) 一般にアール・ヌーヴォー時代に続き、ヨーロッパやアメリカを中心に1910年代に起こり、1930年代にかけて発展した芸術動向、世界初の建築装飾の動向。 有機的・曲線的で自由な装飾性を特徴とするアール-ヌーボーとは対照的に、実用的で単純・直線的・秩序、色、幾何学的なデザインを特徴とする。  
アールヌーボー(仏: art nouveau) 「art nouveau=新しい芸術」の意。19世紀末から20世紀初めヨーロッパで 建築や工芸、絵画やデザインなど幅広い芸術の間で流行した様式。植物模様や有機的・曲線的な装飾が特徴。また鉄やガラスなどの新素材の利用も特徴のひとつ。  アルフォンス・ミュシャ/ルネ・ラリック/グスタフ・クリムト/オットー・ワーグナー/チャールズ・レニー・マッキントッシュ(Charles Rennie Mackintosh)/オーブリー・ビアズリー など
アクション・ペインティング(Action painting) 1952年アメリカの評論家 H.ローゼンバーグが生み出した言葉。抽象表現主義の画家たちの総称として用いられる。ブラッシュ・ストロークやドリッピングなどといった身振りを伴う描く行為自体を重視した手法のひとつ。 ジャクソン・ポロックやウィレム・デ・クーニングなどが代表的。
アブストラクトアート(abstract art) 抽象芸術/抽象美術。目に見えるものをそのまま再現する具象と対照的に、自由な線や色、形、ボリュームなどにより表現した芸術。 秩序/順序、純度、シンプルさ、スピリチュアリティなどの美点を表現でき、心に働きかける側面があるとみられる。  1900年初頭以来、抽象芸術は現代アートの中心的な流れを作っている。 抽象↔具象。 ワシリー・カンディンスキー/ウィレム・デ・クーニング/マーク・ロスコ/ピエト・モンドリアン/ジャクソン・ポロック/バーネット・ニューマン  など
Abstract expressionism (アブストラクト・エクスプレッショニズム) 抽象表現主義 抽象表現主義/ニューヨーク・スクール(ニューヨーク派)とも呼ばれる。1940年代後半のアメリカ、特にニューヨークを中心に隆盛した抽象芸術の様式でアメリカ初の前衛芸術。アクション・ペインティングなどのように、絵の具を飛び散らせたり滴らせるドリッピング技法や 躍動感のある筆致、カラー・フィールド・ペインティングのように静かに画面を色彩の場とし色彩面を配置した絵画なども含まれる。 ジャクソン・ポロック/バーネット・ニューマン/マーク・ロスコ/ウィレム・デ・クーニング/ロバート・マザウェル/ゲルハルト・リヒター/ジャン・アルプ/パブロ・ピカソ/ルイーズ・ブルジョワ/フランク・ステラ/ドナルド・サルタン など
アプロプリエーション(Appropriation) 「流用」「盗用」などの意。 アプロプリエーションアート=盗用美術。先人の作品や既存のイメージなどを自作に利用するアート。また、その手法のこと。 シュミレーショニズム/シミュレーション・アートなどとも。手法として『サンプリング』『カットアップ』『リミックス』などがある。 パブロ・ピカソ/マルセル・デュシャン/サルバドール・ダリ/アンディ・ウォーホル/ジュリアン・シュナーベル/シンディ・シャーマン/リチャード・プリンス/マイク・ビドロ/ダグラス・ゴードン/ロイ・リキテンスタイン/トム・ウェッセルマン/ジェフ・クーンズ/フィッシュリ&ヴァイス/森村泰昌/村上隆/森万里子 などなど。
Actionism   アクショニズム/ウィーン・アクショニズム  1960年代、オーストリアのウィーンで出現したアートの動向で、身体を素材としタブーに踏み込むようなショッキングで過激なパフォーマンスなどを行った。 ヘルマン・ニッチ/オットー・ミュール/ギュンター・ブルス/ルドルフ・シュワルツコグラー/マリーナ・アブラモヴィッチ  など
アプロプリエーション・アート(Appropriation art)/アプロプリエーション(Appropriation) アプロプリエーション。「流用」「盗用」などの意。 『盗用美術』の意。過去の著名な作品を自作に利用するアート。また、その手法。 シンディ・シャーマン/シェリー・レヴィーン(Sherrie Levine)/、ジェフ・クーンズ/リチャード・プリンス など
アルテ・ポーヴェラ(Arte Povera) イタリア語で『貧しい芸術』。 1960年代後半〜70年代前半にかけイタリアで展開した芸術運動。イタリア人美術評論家ジェルマーノ・チェラントが企画した「アルテ・ポーヴェラ、Im空間」展(1967年)において名付けた。それまで芸術作品をつくる素材として用いられていた絵具やブロンズ、大理石などとは対照的に、日常的でありふれた廃材や鉄などの素材や、自然の石や土や植物などをそのまま用いトートロジー的に表現したりする。  日本の『もの派』と類似。 ミケランジェロ・ピストレット/マリオ・メルツ/ヤニス・クネリス/ジュリオ・パオリーニ/ジョゼッペ・ペノーネ/ピーノ・パスカーリ  など
アヴァンギャルド(Avant Garde) アヴァンギャルド。仏語で「前衛」。第一次大戦前後ヨーロッパに起こった芸術運動。前衛芸術/美術。 それまでは宗教画や彫刻(神々を形作ったもの)、王や貴族たちの肖像画や歴史画といったものが芸術作品だという認識だったところから、封建的社会の崩壊により、芸術家も『個人』として自分の自由なコンセプトによる作品作りが出来るようになった。このように、もともとは19世紀末の当初、前衛的であった芸術こと。現在では、単に既成の概念に対し革新的なという意味合いで幅広く用いられる。シュールレアリスムやキュビズム、抽象主義などのことを指すことも。 ギュスターヴ・クールベ/エドゥアール・マネ/フルクサスやバウハウスなど/パブロ・ピカソ/ジョルジュ・ブラック/サルバドール・ダリ/マルタ・ミヌヒーン(Marta Minujín)/オノ・ヨーコ/草間彌生/岡本太郎/猪熊弦一郎   など
アジア美術(Modern/Contemporary Asian Art) アジア諸国・諸地域の近現代美術を指す総称。  
アクション・ペインティング(action painting) ジェスチュラル・ペインティング/ ジェスチュラル・アブストラクション(gestural abstraction)とも。アクション・ペインティングは批評家ハロルド・ローゼンバーグが作った語。文字通り『アクション/ジェスチャー』により絵具を垂らしたり飛び散らせたりといった方法で制作する行為そのものを重視したもの。 ジャクソン・ポロック/ウィレム・デ・クーニング/フランツ・クライン(Franz Kline) など
E.A.T.(イート) Experiments in Art and Technology=芸術と科学技術の実験。1960~1970年代に活躍したアメリカの前衛アートの組織でアートとテクノロジーの融合を目的とした。 
AT&Tベル電話研究所の技術者ビリー・クルーバー(Billy Kluber)を中心に、ジャン・ティンゲリー、ジャスパー・ジョーンズ、アンディ・ウォーホル、ジョン・ケージ、ロバート・ラウシェンバーグやパフォーマンス・アーティストのロバート・ホイットマン(Robert Whitman)など当時の最先端アーティストたちが参加していた。ニューヨークを拠点に、美術、ダンス、電子音楽、映像など様々な表現でアートとテクノロジーを結ぶ実験的な試みを行った。芸術に最先端の科学技術を取り入れることで新しい表現が可能となり、そのように科学技術を融合して新たな芸術を表現することで 科学技術にも新しい広がりが見いだされることとなり 組織の功績は高く評価されている。  NYでの企画『九つの夕べ――演劇とエンジニアリング』(1966)は有名/日本でも『大阪万博ペプシ館』(1960)の基本デザインを手がけた。その後も影響は続き、日本のアーティスト中谷芙二子(なかやふじこ)が71年にE. A. T. 東京を設立、活動を展開した。2003年には東京のNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)でも本格的な回顧展が開催され、クルーバーも来日した。
ジャン・ティンゲリー/ジャスパー・ジョーンズ/アンディ・ウォーホル/ロバート・ラウシェンバーグ/ロバート・ホイットマン/ジョン・ケージ/中谷芙二子  など
インスタレーション・アート(Installation Art) 室内や屋外にオブジェや装置を置くなどして空間を構成し,その場所・空間全体を作品として体験させる芸術。 クリスト&ジャンヌ=クロード/オラファー・エリアソン/草間彌生/川俣正/イリヤ·カバコフ/宮島達男/ジェームズ・タレル など
インタラクティブアート Interactive=相互に作用する,対話(会話)型・式の などの意。何らかの形で観客が参加することで完成する芸術作品。主にコンピュータなど電子メディアを活用したプログラムを通じ、観客の動作や所作などに作品が反応し変化していくなどして相互作用をもたらす。  ジェフリー・ショー(Jeffrey Shaw)/カーステン・ホラー(Carsten Höller)/岩井俊雄/藤幡正樹/明和電機 など
インターベンション・アート(Intervention Art)/art intervention  他のアート作品や観衆,さまざま公的機関や領域に介入(インターベンション)するアート。1960年代、アーティスト達が社会におけるアーティストの役割を根本的に変えようとし、そのことにより社会そのものを変えようとした。また インターベンション(Intervention)と称される表現行為、パフォーマンスの表現形態の一側面。「パフォーマンス・アート」とは、主に身体を介在させた「行為の芸術」といえる。 スチュアート・ブリズリー(Stuart Brisley)など
印象派(Impressionism) 印象派/印象主義。19世紀後半フランスで起きた芸術運動。名称は、モネの「印象・日の出」(1872年)が由来。 描く対象のそのままの輪郭や固有色よりも、その時、自身の感覚で実際に感じる光や空気の変化などを正確にとらえようとした。 光の変化や空気の質感などを捉えることを重視するため、従来の画家たちが専らアトリエ内で制作していたのとは対照的に戸外制作を好んだ。 セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンらは後期印象派と呼ばれる。 カミーユ・ピサロ/エドガー・ドガ/ポール・セザンヌ/クロード・モネ/ピエール=オーギュスト・ルノワール/アルマン・ギヨマン/メアリー・カサット/ポール・ゴーギャン/フィンセント・ファン・ゴッホ  など
エンバイロンメンタル・アート(Environmental Art) 環境アート。環境芸術。室内外を問わず、取り巻く環境そのものを作品と見立てる芸術。自然や都市環境に関する、社会的、政治的な問題に取り組む芸術であり、多くの場合インスタレーション形をとる。1960年代後半に用いられるようになり、アース・アートと密接に関連する。                    ヨーゼフ・ボイス/ローター・バウムガルテン(Lothar Baumgarten)
オプ・アート(Op Art) 「オプティカル・アート」(Optical Art)の略。錯視や視覚の原理を利用した芸術様式。 ヨゼフ・アルバース/ヤコブ・アガム/Jesús Rafael Soto ヘスス・ラファエル・ソト/ヴィクトル・ヴァザルリ/ジュリオ・ル・パルク(Julio Le Parc) など
キネッティック・アート キネッティック・アート/カイネティック・アート。何らかの仕掛け等によって物理的に「動く」、または 目の錯覚を利用して「動くように見える」芸術。 ≒オプ・アート(Op Art)。 オプ・アートが主に二次元であるのに対し キネティックアートは三次元が多い。また、キネティックの場合はバーチャルではなくリアル(実際の)動きである。 マルセル・デュシャン/ナウム・ガボ/アレクサンダー・カルダー/ヘスス=ラファエル・ソト(Jesus Rafael Soto)など
グラフィティ・アート(Graffiti Art)  壁や公共の場所における様々な 面に描かれるアート。落書き。エアゾール・アートともいい、スプレー塗料やフェルトペンなどが使われる。 キース・ヘリング/バンクシー/Mr.ブレインウォッシュ など
コンセプチュアル・アート(Conceptual Art) コンセプチュアル・アート。直訳すると概念芸術。1960~70年代に展開した前衛芸術運動。イデア・アート(Idea art)とも呼ばれる。作品の視覚的物質的な側面よりも、その表現に至るまでのプロセスや観念的な面に重きを置き 概念そのものに問いかける芸術。 マルセル・デュシャン/ヨーゼフ・ボイス/ジョセフ・コスース/ソル・ルウィット/オノ・ヨーコ/河原温 など
コンクリート・アート(Concrete Art) 具体芸術。具体的な美術。1930年、テオ・ファン・ドゥースブルフが提案した名称。線、色、平面などほどリアルなものはないという主張のもとに、感情的な表現を排し客観的な外観や数学的構成など形式上の特性を重視した。 ※スイスにコンストラクティヴ&コンクリート・アートの美術館『ハウス・コンストルクティヴ美術館(Museum Haus Konstruktiv)』がある。http://www.hauskonstruktiv.ch/ ヨゼフ・アルバース/マックス・ビル/リチャード・ポール・ローゼ(Richard Paul Lohse)  など
コンストラクティビズム/構成主義/ロシア構成主義 (Constructivism)

1915年頃、パブロ・ピカソの立体構造に決定的な影響を受けたロシアのウラジーミル・タトリンとアレクサンドル・ロトチェンコにより創設された芸術運動。芸術は現代の産業界をじかに反映すべきだという考えであり、純粋に技術的熟練と材料の審美的な組み合わせを追求した。 タトリンの考えに従ったロシアのアーティストたちは『コンストラクティヴィスト(構成主義者)』と呼ばれ、1923年には彼らの雑誌『Lef(レフ)』が出版された。 構成主義は美術や建築だけでなく、デザインや舞台・演劇、ダンス、映画、音楽など幅広い分野に影響を与えた。

 

ウラジーミル・タトリン/アレクサンドル・ロトチェンコ/エル・リシツキー/アントワーヌ・ペヴスナー/ナウム・ガボ/ロンベルグ、オスヴァルド など
     
後期印象派(Post-Impressionism)/ポスト印象派 印象派の後、1880年代以降活躍したポール・セザンヌ、ポール・ゴーギャン 、フィンセント・ファン・ゴッホらの時代のことをいう。印象主義の流れをくみつつ、それにとらわれず独自の世界を追求していった。 ポール・セザンヌ/ポール・ゴーギャン/フィンセント・ファン・ゴッホ など
サイトスペシフィック・アート(Site Specific Art) ある特定の場所に帰属したり、その場所の特性を活かした美術作品。 多くの場合インスタレーションに関連して使われる。また、ランド・アートもほぼ同じ定義。 ロバート・スミッソン/川俣正/アンディー・ゴールズワージー/リチャード・セラ/クリスト&ジャンヌ=クロード/ジェームズ・タレル など
サウンドアート(Sound Art) 音楽ではなく「音」そのものを用いて体験する芸術の総称。 だが、その出どころとしては音楽や視覚芸術との関連があり、「新しい音楽」の別称などとして使われることも多く「サウンド・アート」は様々に用いられているので明確な定義は難しい。 ジョン・ケージ/ポーリン・オリヴェロス(Pauline Oliveros)/カールステン・ニコライ/マーク・ベーレンス(Marc Behrens)/池田亮司  など
シミュレーショニズム(Simulationism) 1980年代高度資本主義社会の大量消費文化においての氾濫するコピー(複製品)はオリジナルを凌駕する としたフランスの思想家ジャン・ボードリヤールの概念をきっかけに起こった芸術動向。名画など既存のイメージを引用、変換し 大量消費社会を批判やオリジナルの価値を問う。≒アプロプリエーション。  
新古典主義 18世紀後半から19世紀初頭にかけヨーロッパを中心に興った、古代ギリシャ・ローマ芸術・文化の復興を謳った運動や様式。  
シュルレアリスム(仏: surréalisme、英: surrealism) 日本語では「超現実主義」と訳される。1920年代フランスの詩人アンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』(「シュルレアリスム第一宣言」)により始まった芸術運動。 理性や既成の観念などに支配されず、想像力を解放し夢や幻想など潜在意識の世界を表現し人間自体の自由と変革を目指した。 小説家ルイ・アラゴン(Louis Aragon)/詩人ポール・エリュアール(Paul Eluard)/マックス・エルンスト/サルバドール・ダリ/ジョルジョ・デ・キリコ/瀧口修造 など
シチュエーショニズム(英:situationism)/シチュアシオニスム(仏:situationisme) ギー・ドゥボールが創始。シチュアシオニスム(仏:situationisme)とも呼ばれる。資本主義における大量消費社会を批判。このような消費社会=スペクタクルの社会 とし、スペクタクルに対する「状況(シチュアシオン)」の構築を目指し国際的集団「シチュアショニスト・インターナショナル」を結成。彼らは自らを『シチュアシオニスト(状況派)』と呼んだが、主義としての『シチュアシオニスム(状況主義)』という『主義』は存在しないと明言している。 ギー・ドゥボール(Guy Debord)
新印象主義(Néo-Impressionnisme) 新印象派。1880年代フランスに起こった芸術運動。印象主義を継承しつつ、その理論をさらに科学的に発展させ合理的な表現を目指した。点描画法などの技法を用い、点描主義とも。 ジョルジュ・スーラ/ポール・シニャック など
ジェネレーティブアート(Generative Art) 偶然の要素を含む予め決められたシステムを用いて作られたアート。通常、コンピュータベースのアートに用いる。コンピュータのアルゴリズム(算法)、機械的でランダムな自律的に動作するしくみを設計して制作される。 プロセスアート(process art)にも関連している。 ジョン・ケージ/ブライアン・イーノ/ハンス・ハーケ(Hans Haacke)/ケン・リナルド(Ken Rinaldo)  など
ジャンク・アート(Junk Art) 『Junk=廃棄物/がらくた』で制作した芸術作品。廃物美術,廃品美術とも呼ばれる。 ジョン・チェンバレン/ジャン・ティンゲリー/マルセル・デュシャン/ロバート・ラウシェンバーグ/イヴ・クライン/セザール/アルマン など
スーパーリアリズム(superrealism) 1960年代後半以降アメリカを中心に興った絵画動向。主に写真をもとに対象を克明に写実する。 別称:フォトリアリズム/ハイパーリアリズム/シャープ・フォーカス・リアリズム。 マルコム・モーリー/チャック・クロース/リチャード・エステス(Richard Estes)/ドゥエイン・ハンソン(Duane Hanson)/ロバート・コッティンガム(Robert Cottingham)/ヴィヤ・セルミンス(Vija Celmins) など
ストリート・アート(Street Art) 路上や壁など様々な公共空間でゲリラ的に作成されるアート。認可されない場での表現もありグラフィティアートに関連しているが、メディアの広い範囲をカバーしグラフィックデザインと繋がっている。政治的/社会的メッセージや都市空間や環境に対する様々なアイディアやユーモアを含み実践される。ステンシル,スプレーペイント,フリーハンドドローイングやビデオ投影など様々な技法を用いる。ストリートアートにはルールはない。 キース・ヘリング/バンクシー/シェパード・フェアリー(オーベイ)/JR/インベーダー  など
スタッキズム(Stuckism) スタッキズム。1999年、ビリー・チャイルディッシュ(Billy Childish)とチャールズ・トムソン(Charles Thomson)により設立された。コンセプチュアル・アートに反対し、フィギュラティヴ・アートを推進する芸術運動。(‘stuck, stuck, stuck’というトレイシー・エミン(元恋人)によるチャイルディッシュへの侮辱をきっかけに命名。)  
スーパーフラット(Superflat) スーパーフラット。村上隆により提唱された概念。芸術市場において『ハイアート(高級芸術)』『ロウアート(大衆芸術)』の境界線を曖昧にする(意図的に混ぜ合わせる)という意味でのフラット。浮世絵などの伝統的日本画と現代の漫画やアニメ、ゲームなどのポップカルチャーに共通して見られる平面的で超二次元的表現という意味でのフラット。また、戦後の日本社会における無階層的で画一的な大衆文化を表す意味でのフラットでもある。 村上隆/青島千穂/國方真秀未/奈良美智/タカノ綾  など
ゼロ/グループ・ゼロ(Group Zero) 『グループ・ゼロ』または単に『ゼロ』と呼ばれる。1957年ドイツのデュッセルドルフを拠点にオットー・ピーネ(Otto Piene) とハインツ・マック(Heinz Mack)により設立され、当時主流だったタシスムやアンフォルメルなどの主観的性質に反応し 光や動きを用いた表現を志向、実践した。『ゼロ』という名前はロケット打ち上げのカウントダウンのゼロからきており、『沈黙の領域(=ゼロ)から新しい始まりを生み出す』という意図がある。 66年の解散に至るまでドイツ国内外様々なアーティストと共に活動、展開していった。日本では白髪一雄などの具体美術のアーティストたちが関わった。90年代以降、グループ・ゼロを回顧する動きもあり、2008年にはハインツ・マックらによりゼロ・ファウンデーション(ZERO foundation)が設立された。https://www.mack-kunst.com/en/Zero-2.htm オットー・ピーネ(Otto Piene)/ハインツ・マック(Heinz Mack)/ギュンター・ユッカー/ポル・バリー/ダニエル・スペーリ/イヴ・クライン/ルーチョ・フォンタナ/ピエロ・マンゾーニ/ジャン・ティンゲリー/白髪一雄 など
タシスム(Tachisme) 1940~1950年代にフランスを中心としたヨーロッパで興った芸術動向。フランス語の「tache」(染み、斑などの意)に由来するように、自発的な筆使いやドリッピング(滴り)、走り書きのような筆運びなどで特徴づけられる。 ほぼアンフォルメルと同義。 ジョルジュ・マチュー/サム・フランシス/ハンス・アルトゥング など
ダダ(Dada) 1910年代半ば(第一次世界大戦中)チューリッヒのキャバレー・ヴォルテールで始まった、戦争の恐怖や愚かさ、戦争をもたらした国家主義や合理主義などへの否定、反動として起こった前衛的芸術運動。戦争を開始し延長する社会のあらゆる側面に疑問を感じたアーティストたちが異議を唱えた。また、彼らの目的は、芸術における既成の古い価値観を打破、否定し新しい芸術を創造することだった。 しばしば風刺的で無意味な芸術,詩、パフォーマンスで表現された。        既存の価値観、美学を無視しダダは何も意味しないというような態度でもあり、『反芸術』とも言われる。  『ダダ』という単語も辞典を開いて偶然目についたものが選ばれたというもので特別の意味もない。 リスタン・ツァラ/リヒャルト・ヒュルゼンベック/フーゴー・バル/ジャン(ハンス)・アルプ/ ゾフィー・トイバー/マルセル・ヤンコ/ハンス・リヒター/ハンナ・ヘッヒ/フランシス・ピカビア/マン・レイ/マルセル・デュシャン など
デジタル・アート(Digital Art) デジタル技術(コンピュータを使ってデジタル形式で)を利用して作成または提供されるアートのこと。 ヘルベルト・W・フランケ(Herbert W. Franke)/ハロルド・コーエン  など
トランスアヴァンギャルディア(Transvanguardia) 1970年代後半から1980年代にイタリアで起こった芸術動向。アヴァンギャルド(前衛)を「trans=越える」の意。コンセプチャルアートのような観念や抽象ではなく、感情や具象表現を重視する表現主義絵画の復興を目指した。のちにフィギュラティヴ・アートなどの復興にも繋がった。 イタリアの評論家アキーレ・ボニート・オリヴァが命名。 イタリア版、新表現主義ともいわれる。代表的な作家サンドロ・キア、フランチェスコ・クレメンテ、エンツォ・クッキは3人の共通する頭文字から通称3Cと呼ばれる。 サンドロ・キア/フランチェスコ・クレメンテ/エンツォ・クッキ/ニコロ・デ・マリア/ミンモ・パラディーノ など
ニュー・ブリティッシュ・スカルプチュア(New British sculpture) ミニマルアートやコンセプチュアルアートに反応し、素材や技術や形象に より伝統的なアプローチ(幅広い制作方法や石や大理石などの素材の使用)や詩的/想起的なイメージなどを取り入れた1980年代の一群のイギリスの若い彫刻家たちの出現と活躍を称したもの。 トニー・クラッグ/アントニー・ゴームリー/ステファン・コックス/バリー・フラナガン/アニッシュ・カプーア/ジュリアン・オピー/アリソン・ワイルディング/ビル・ウッドロー など
ニュー・メディアアート(New Media) 1980年代後半から使われるようになった用語。新しい技術発明を利用し生み出されるアートの総称。新技術によりアートのデジタル生産や流通が可能になった。CD-ROMから携帯電話やワールドワイドウェブまでニューメディアはメディアの大量流入を定義する。YouTubeなどのウェブサイトは新しいメディアの重要な局面であり、ボタンをクリックするだけで何百万人もの人々にアートを流通することができる。  
ヌーヴォー・レアリスム(Nouveau Realisme) 1960年、批評家のピエール・レスタニー(Pierre Restany)により宣言、設立された前衛芸術の動向。Nouveau Realisme=「新しい現実主義」と解釈される。第二次大戦後の工業化社会において、大量生産品や廃棄物などに溢れる社会は人間が生み出した新しい自然な環境であるとし、それらをそのまま用いて表現することで今日のリアリティを示した。  イヴ・クライン/ジャン・ティンゲリー/アルマン/レイモン・アンス/クリスト&ジャンヌ=クロード/ニキ・ド・サン・ファル/セザール・バルダッチーニ など
ネオ・ダダ(Neo Dada)   1950~1960年代のアメリカで活動していたアーティストの作品やその活動に適用される語。コラージュやアッサンブラージュ,レディメイドなどの技法で印刷物や日用品、廃材などを用い、不条理的で反美的でダダを彷彿させ「ダダの再来」という意味で名付けられた。 ヨーロッパにおけるネオ・ダダのようなものはヌーヴォー・レアリスム(Nouveau Realisme)。 ジャスパー・ジョーンズ/ロバート・ラウシェンバーグ など
ハイパーリアリズム  1960年代後半以降アメリカを中心に興った絵画動向。主に写真をもとに対象を克明に写実する。 別称:フォトリアリズム/スーパーリアリズム/シャープ・フォーカス・リアリズム。  マルコム・モーリー/チャック・クロース/リチャード・エステス(Richard Estes)/ドゥエイン・ハンソン(Duane Hanson)/ロバート・コッティンガム(Robert Cottingham)/ヴィヤ・セルミンス(Vija Celmins) など
バルビゾン派 1830~1870年頃、フランスのバルビゾン村やその近郊フォンテーヌブローの森に集まり主に風景画を描いた芸術家の一派。のちの写実主義や印象派などに影響を与えた。 コロー ジャン=バティスト・カミーユ・コロー/ジャン=フランソワ・ミレー/テオドール・ルソー/コンスタン・トロワイヨン/ナルシス・ディアズ・ド・ラ・ペーニャ/シャルル=フランソワ・ドービニー /ジュール・デュプレ など
パフォーマンスアート(Performance Art) アーティスト本人や参加者による活動によって生まれるアート。ライブ(生)でするもののほか写真やビデオに収め展示されるものもある。 ヨーゼフ・ボイス/オノ・ヨーコ/マシュー・バーニー/シンディ・シャーマン/マリーナ・アブラモヴィッチ/森万里子/草間弥生/ジャクソン・ポロック/イヴ・クライン/千葉節子/ローリー・アンダーソン など
ビデオアート(Video Art) ビデオ/オーディオデータで構成され、動画に依存したアートの形式。 ナム・ジュン・パイク/ブルース・ナウマン/ビル・ヴィオラ/ヴォルフ・フォステルなど。
フェミニズム・アート/フェミニスト・アート(Feminist Art)  1960年以降に始まった美術におけるフェミニズム的潮流。1970年代初頭のフェミニストアート理論の発展を鑑みてアーティストにより意識的に作られたアート。女性に関する文化的、身体的迫害等に異議を唱える傾向や 社会におけるステレオタイプな女性のイメージの脱構築を目的としたものなどがある。 ルイーズ・ブルジョワ/シンディ・シャーマン/キキ・スミス/Pushpamala N/メアリー・ケリー(Mary Kelly)/スザンヌ・レイシー(Suzanne Lacy)/レスリー・ラボウィッツLeslie Labowitz/オノ・ヨーコ  など
フィギュラティヴ・アート(Figurative Art) 特に人間の姿など、 現実世界の側面を強く参照した芸術/美術。一般的な意味で、抽象芸術が現れる以前のすべての芸術に適用される用語。 パブロ・ピカソ/アルベルト・ジャコメッティ/フランシス・ベーコン/ルシアン・フロイド  など
フルクサス(Fluxus) 

1960年代にジョージ・マチューナス(George Maciunas)により設立された、国際的前衛集団またはアーティストや作曲家のネットワークで世界的に展開し今日もなお続く芸術運動。Fluxusはラテン語で「流れる」などの意味であり、ジョージ・マチューナスはフルクサスの目的は『芸術における革命の洪水および潮流、生きた芸術、反芸術を促す』こととしている。活動は単一のスタイルではなく様々な表現がなされるが、特に身体的な『行為』としての表現で知られている。それらの創作活動には偶然やアクシデント、ユーモアが重要な役割を果たし「シンプルさ」や「反商業主義」といったことも重視している。フルクサスの活動は1960年代以降の芸術に多大な影響を及ぼし多様な芸術形式やアプローチが広がっていった。

 

ヨーゼフ・ボイス/ジョージ・マチューナス/ディック・ヒギンズ/ナム・ジュン・パイク/シャルロット・モーマン/アリス・ハッチンズ/オノ・ヨーコ/塩見允枝子/靉嘔  など
フォトリアリズム(Photorealism)  1960年代後半以降アメリカを中心に興った絵画動向。主に写真をもとに対象を克明に写実する。 別称:ハイパーリアリズム/スーパーリアリズム/シャープ・フォーカス・リアリズム。  マルコム・モーリー/チャック・クロース/リチャード・エステス(Richard Estes)/ドゥエイン・ハンソン(Duane Hanson)/ロバート・コッティンガム(Robert Cottingham)/ヴィヤ・セルミンス(Vija Celmins) など
プロセスアート(Process Art) 最終的な形よりもそこに至るまでのプロセスを重視する表現様式で60年代後半から70年代にかけて展開された。 ※ジェネレーティブアート(Generative Art)に関連する ハンス・ハーケ(Hans Haacke)/リチャード・セラ/ブルース・ナウマン/バーナード・コーエン/ロバート・モリス   など
ポスト・モダニズム(post-modernism) ポスト・モダニズム/ポスト・モダン=『近代のあと』の意。モダニズム(近代主義)の考えや価値観に反するものとして用いられる用語。ポスト・モダンな様式や理論があるわけではない。芸術における多様なアプローチを含み、ポップアートやコンセプチャルアート、新表現主義など様々な芸術を包含していると言える。  
ポップ・アート(Pop Art) ポピュラー・アート(大衆芸術)の意。1960年代初め頃からイギリスやアメリカで興った芸術運動。それまでの芸術や文化に対する支配的なアプローチや、芸術のあり方についての伝統的な見解に反抗して始まった。大衆商業文化、大量消費社会の影響のもとに起こり、その要素(広告、マスメディア、商品、映画、漫画、テレビなど)を作品に取り入れたりそこからインスピレーションを得て作品が作られた。 ※リチャード・ハミルトンがアリソン&ピーター・スミッソンへの手紙に挙げた『ポップアートの特徴』➡【ポップアートとは:ポピュラー(大衆向け)、トランジェント(過渡的)(短期的解決)、消耗品/使い捨て(簡単に忘れ去られる)、低コスト、量産、若者(若者向け)、ウィッティー(機知に富んだ)、セクシー、ギミッキー(からくり仕掛けの)、グラマラス(魅力的な)、ビッグビジネス】 リチャード・ハミルトン/アンディ・ウォーホル/ロイ・リキテンスタイン/ジェームス・ローゼンクイスト/トム・ウェッセルマン/ジュリアン・オピー/奈良美智/キース・ヘリング/アレックス・カッツ など
マスシュールレアリズム(Massurrealism) ポップアートなどのマスメディアに関連したイメージととシュルレアリスム(超現実主義)の組み合わせをもとにした芸術形式。1992年にアメリカのアーティストJames Seehaferにより作られた混成語。現代シュルレアリスムのイメージにおける技術的効果に重点を置いたシュルレアリスムの発展形。  
ミニマリズム (Minimalism) 日本語では『最小限主義』とも訳される。装飾的/説明的要素など極力削ぎ、最小限まで突き詰めようとする手法/主義。 フランク・ステラ/ドナルド・ジャッド/リチャード・セラ/ロバート・モリス/トニー・スミス(Tony Smith)/カール・アンドレ(Carl Andre) など
ミニマル・アート(minimal art) 芸術分野におけるミニマリズム。 装飾的/説明的要素を極力削ぎ最小限の要素で表現された極端な抽象芸術。1960年代のアメリカで展開し、正方形や長方形などに基づいたシンプルな幾何学的形状で構成される作品が代表的。 フランク・ステラ/ドナルド・ジャッド/リチャード・セラ/ロバート・モリス/トニー・スミス(Tony Smith)/カール・アンドレ(Carl Andre) など
メール・アート(Mail Art) 原則として、郵便サービスを介して作品を送る運動。1960年代以降、アーティストが従来の展覧会や商業的ルートを介して作品を販売するのではなく、はがきに詩や絵画などを書いて(作品やそれ自体に類するものを)郵便物として送ったことが始まり。「フルクサス」の作家レイ・ジョンソン(Ray Johnson)が行なった、ポストカード型のコラージュを送りつける「コレスポンデンス・アート」がその代表的な例。 その後も進化・発展し 今日まで続く世界的な芸術運動になった。メールアートは ポストカードや小包、ファックス、電子メールなど様々な形態をとることができる。1960年代にはフルクサスのアーティストであった河原温が、友人や家族に自分が生きていることを知らせる『私はまだ生きている オン・カワラ』という電報文を送った(「I AM STILL ALIVE」シリーズ)。 レイ・ジョンソン(Ray Johnson)/河原温 など
モダニズム(Modernism) 近代主義/現代主義。20世紀初頭以降、近代産業社会における経験や価値観の新たな位置づけを模索した世界的動向。19世紀芸術を基に新たなイメージや素材、技術を用いて現代社会の現実や希望を反映した作品が作られた。1960年代までにモダニズムは芸術における主流的な観念となった。モダニズムは多くの異なる様式を包含するが、モダニズムを定義するものとして:歴史と保守的(古臭い)な価値観の拒否(例えば写実的な描写など)/抽象的な形を使った革新と実験(作品を作る形や色や線)/素材、技術、プロセスに重点を置く などのことがある。モダニズムは様々な社会的、政治的課題によって推し進められてきており、人間の生活や社会の理想的な展望や進歩に対する信念と関連していた。  
モダン・アート(modern art) 近代美術。現代美術。主に20世紀以降、第二次大戦以前のシュールレアリスムや抽象主義などの新しい美術のことを言い、第二次大戦以後に生まれた美術はコンテンポラリー・アートと呼ばれる。  
ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(Young British Artists) ブリットアート(Britart)、ブリット・アーティスト(Brit artists)とも。イギリスを中心に活動した1990年代当時の若手アーティストの総称。表現媒体は絵画、彫刻,インスタレーションなど多岐にわたる。素材やプロセス、衝撃的な方策や起業家的態度への率直さが特徴。主義主張も様々で思想的な共通点などはなく、世間一般でのタブーを侵したものが数多くみられる。

ダミアン・ハースト/レイチェル・ホワイトリード/サラ・ルーカス/トレイシー・エミン/マーク・クイン/ダグラス・ゴードン/クリス・オフィリ など

ランド・アート(Land Art) ランド・アート。アース・アート(Earth art)、アース・ワーク(Earthworks)、環境芸術(Environmental art)とも呼ばれる。 主に彫刻的な運動であり、風景の中に直接作られ 完成した作品に地球や風景の概念または自然の要素(岩や小枝,木,鉄など)を組み込んだ創造的な美術のジャンル、または作品。

リチャード・ロング/ロバート・スミッソン/アンディ・ゴールズワージー/ナンシー・ホルト/ウォルター・デ・マリア/マイケル・ハイザー/デニス・オッペンハイム/荒川修作 など

リリカル・アブストラクション(Lyrical Abstraction) lyrique (叙情的)。叙情的抽象、アンフォルメル,タシスム(Tachisme)、などとも呼ばれた。戦後のフランス、パリで生まれ1940~1950年代に発展した非幾何学的抽象芸術。自発的な筆致、ドリップ(たらす、滴る)のような跡などの特徴がある。アメリカン・リリカル・アブストラクション(American Lyrical Abstraction)は、1960年代から1970年代に登場した。 ニコラス・デ・スタール(Nicolas deStaël)/アンドレ・ランスコイ(AndréLanskoy)/セルジュ・ポリアコフ(Serge Poliakoff)/ハンス・ハータング(Hans Hartung)/サム・フランシス/ポール・ジェンキンス など
ローブローアート(Lowbrow) 1970年代後半ロサンゼルス周辺にて発生した動向で、絵画等の芸術作品は富裕層/上流階級の趣向品であり権力の象徴というような それまでの観念に対抗したカウンターカルチャーとして大衆の間で広まった。コミックスやパンクロック、ストリートカルチャー、タトゥー、などのサブカルチャーに由来し、ユーモアや悪ふざけ、風刺的な皮肉表現などが多く個性的主張も強い。 フランク・コジック(Frank Kozik)/エド・ロス(Ed Roth)/クープ(Coop)/パスヘッド(Pushead)/ 日本ではLITTLE CHOP DESIGN/MAD SCULPTURES WARE など
バンド・デシネ(仏:bande dessinée) bande dessinée=「描かれた帯」という意。=『続き漫画』、英語で言う『comic strips(コミック・ストリップ)』に相当する語。略してBD(ベデ)とも呼ばれる。フランス語圏で漫画は「9番目の芸術」(le neuvième art、ル・ヌヴィエム・アール)として認識されている。フランス語圏では漫画全般を指す語だが、日本においてはフランス語圏で制作された漫画作品を指す。 日本の漫画に比べ、オールカラーの作品が多い。代表的な作家メビウスなどの作品は日本の漫画界へ多大な影響を与えている。 『スマーフ(The Smurfs)』ペヨ(ピエール・キュリフォール (Pierre Culliford) )/『タンタンの冒険』エルジェ/メビウス(ジャン・ジロー)  など
マンガ/漫画 『漫画』字義的には「気の向くままに漫然と描いた画」という意味の和製漢語。コマ割りや一枚の絵のものなどもあり、絵のみまたは絵とセリフや擬音語などを添え表現される物語。ユーモアやナンセンス、おかしみを含んだものが多く 時には風刺的、批評的な要素も込められる。古くからある『戯画』(鳥獣戯画など)の概念とも重なり、今も昔も大衆文化(ポップカルチャー)であり、そのルーツは日本美術にあるとみられる。日本画など歴史的日本美術と現代的なポップカルチャーを融合した数多くの作品を発表し、今や世界的に有名なアーティスト村上隆は『アニメやマンガこそが日本独特のアート』であると論じている。村上隆のパワフルな活躍により日本のアニメやマンガは飛躍的に世界に注目されるようになった。 手塚治虫/松本大洋/荒木飛呂彦/寺田克也/谷口ジロー など
ドイツ表現主義(German Expressionism) 20世紀初頭のドイツで起こった芸術運動。作家自身の主観的、内面的な感情や考えなどに重点を置き 簡略化された形や明るい色やブラッシュストロークなどの表現によって特徴づけられる。絵画、彫刻、建築、音楽、映画など様々な分野で展開していった。  エルンスト・ルートヴィッヒ・キルヒナー率いるDie Brücke(ブリュッケ=橋)/ワシリー・カンディンスキーとフランツ・マルクの率いるDer Blaue Reiter (ブラウエ・ライター=青騎士) の二つのグループがある。 カール・シュミット=ロットルフ/ワシリー・カンディンスキー/フランツ・マルク など
未来派(Futurism・ Futurismo) 20世紀初頭にイタリアで起こった芸術運動。伝統的な芸術と社会を否定し、新しい時代にふさわしい機械美やスピード感、ダイナミズムを表現した。その活動は絵画や彫刻だけでなく、写真、建築、デザイン、ファッション、演劇、音楽、文学、政治活動に至るまで広範囲に及んだ。1915年頃までに自然消滅していったが、後のダダやロシア構成主義などに大きな影響を与えた。 『The City Rises』ウンベルト・ボッチョーニ(Umberto Boccioni)/『Dynamism of a Dog on a Leash』ジャコモ・バッラ(Giacomo Balla)
バウハウス(Bauhaus) 1919年、ドイツ国・ヴァイマルに設立された、工芸・写真・デザインといった美術と建築に関する学校。造形の集大成である建築をもとに調和のとれた造形と、芸術と工芸への見直しを促していた。学校として存在したのは、ナチスにより1933年に閉校されるまでのわずか14年間であるが、現在でも建築やデザインの分野で影響を与え続けている。 ヴァルター・グロピウス(Walter Gropius)/マルセル・ブロイヤー(Marcel Breuer)/ヘルベルト・バイヤー(Herbert Bayer)
ジャポニスム(Japonisme) 19世紀後半に欧米で起こった日本美術ブームのこと。幕末に日本が開国して以降、美術工芸品の流出・輸出が機会となり、フランスを中心に、ヨーロッパのほぼ全域からアメリカまで広がった。ガラス製品のデザインや浮世絵の遠近法や構造が絵画の制作手法に取り入れられた。画中に浮世絵を描くこともあった。またこの頃に集められた日本美術のコレクションのことを指す。 『Dancers in the Rehearsal Room』エドガー・ドガ(Edgar Degas)/『Portrait of Père Tanguy (Father Tanguy)』フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)
ボディ・アート(Body Art) 1960年代に登場した作家の行動あるいは観客まで含んだ造形表現をしようとする美術運動。作家自身の身体を芸術作品の媒体としてとらえ、肉体の動きそのものを美術と考える作品。その多くが、一回的な行為であり、写真や映像などのメディアに記録されることが多い。コンセプチュアル・アート、パフォーマンス・アートにも含まれる。 イヴ・クライン(Yves Klein)/クリス・バーデン(Chris Burden)/マリーナ・アブラモヴィッチ(Marina Abramović)
ビザンティン美術(Byzantine Art) 5世紀から15世紀の東ローマ帝国で発達した美術の総称。古代のギリシア美術、ヘレニズム美術、ローマ美術を継承しつつ、東方的、キリスト教的要素を含んでいる。教会建築、モザイクやフレスコ技法による壁画、エンカウスティック技法の聖画イコン、彩色写本挿絵、象牙や金銀細工といった中にその特徴を見ることができる。  
カラーフィールド・ペインティング(Color Field Painting) 1950年代末から1960年代にかけてのアメリカを中心に生まれた抽象絵画の動き。絵の中に線・形・幾何学的な構成をとり、何が描かれているか分かるような絵柄を描いたりはせず、キャンバス全体を少ない色で、大きな面で塗るのが特徴。その作品の多くが巨大なキャンバスに描かれ、観るものは身体全体を一面の色彩に包み込まれることになる。 マーク・ロスコ(Mark Rothko)/ケネス・ノーランド(Kenneth Noland)/フランク・ステラ(Frank Stella)
ベイ・エリア・フィギュラティヴ・ムーブメント(Bay Area Figurative Movement) 戦後1950年代に、アメリカ西海岸、サンフランシスコ・ベイ・エリアを拠点に活動していたアーティスト達による絵画の動向。それまでニューヨークを中心に主流となっていた抽象絵画ではなく、風景や肖像画、静物など具象的なものをテーマとした。リアリズムへの回帰ともいえる動き。 デヴィッド・パーク(David Park)/エルマー・ビショッフ(Elmer Bischoff)/ネイサン・オリヴェイラ(Nathan Oliveira)
キュビズム(Cubism) 1907~8年にかけてパブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックにより考案された革命的で新しい絵画技法。一つのものを様々な側面からと捉えそれを一枚の絵の中に表現した。名前の由来はcube=立方体から。立体派、立体主義ともいわれる。 『Les Desmoiselles d’Avignon』パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)/『Houses at L’Estaque』ジョルジュ・ブラック(Georges Braque)
フォーヴィスム(Fauvism) Fauvism=野獣派。1905年、パリのサロン・ドートンヌで開催された展覧会で、美術批評家のルイ・ヴォークセルが、ヘンリ・マティスやアンドレ・ドランなどの作品を見て、名付けたといわれている。1905~10年頃に製作された作品のことを指す。補色を取り入れた強い色彩と大胆な筆使いが特徴。 『Portrait of Henri Matisse 』アンドレ・ドラン(André Derain)/『Luxe, Calme et Volupte』ヘンリ・マティス(Henri Matisse) 
ハプニング(HAPPENING) 1950年代末から1960年代初頭にかけて行われた、劇場型のイベントのこと。その名前は、1959年にアメリカの作家アラン・カプロウの「18 Happenings in 6 Parts 」で初めて使われた。パフォーマンス・アートの先駆的な存在。ギャラリーや市街地などを会場に、観客が参加する形で行われる。 『American Moon (1960)』ロバート・ホイットマン(Robert Whitman)/『Yard (1961)』アラン・カプロウAllan Kaprow
ハード・エッジ・ペインティング(Hard-edge Painting) 鋭くはっきりとした縁取りで色面や色調をくぎる表現方法。1959年に美術評論家のジュールス・ラングスナーが名付け、1960年代に広まった。 『Hyena Stomp (1962)』フランク・ステラ( Frank Stella)/エルズワース・ケリー(Ellsworth Kelly)
アニメ/アニメーション  静止画の連続を素早く表示し、動きの錯覚を起こすような動画表現の総称。アニメーションの歴史は、古くは初期の中国の影灯籠や18世紀の光学玩具にまで遡るが、20世紀初めにはエミール・コール(Émile Cohl)のようなイラストレーターがセルロイドに漫画を描き始めた。もっとも有名なアニメーターはウォルト・ディズニー。ディズニーはサルバドール・ダリがシュールレアリスムの継承者であると信じていたという人物でもある。コンピュータアニメーションは1960年代に始まった。今やYouTubeなどの動画サイトは、アート関連事業のための場としてギャラリーや美術館などの方策として、コンピュータアニメーションのフォーラムになってきている。 エミール・レイノー/ウィリアム・ケントリッジ/ ウォルト・ディズニー/ジェームズ・スチュアート・ブラックトン/宮崎駿/久里洋二  など
ナイーヴ・アート(素朴派) カテゴリーとして アウトサイダー・アート/アール・ブリュット と重複。アウトサイダー・アート/アール・ブリュット参照。 アンリ・ルソー など
フォークアート(folk art)  いわゆるアカデミックな美術の影響を受けず、土着の伝統や文化から生まれたアート。実用的、装飾的なものが多い。概念的にナイーヴ・アートやアウトサイダー・アート/アール・ブリュットなどと重なる。  
アンフォルメル/アール・アンフォルメル(Art informel) 第二次世界大戦後、フランスを中心に興った抽象芸術を中心とした芸術運動。アンフォルメル(informel)=非定形の意。それまでの抽象表現の構成的/幾何学的なイメージを脱し、非幾何学的で強いマチエールや色彩など感情を表出した激しい表現などが特徴。批評家ミシェル・タピエにより名付けられ、推進されていった。タピエは来日し、いわゆる「アンフォルメル旋風」を起こし日本の具体美術協会などにも大きな影響を与えた。 ジャン・フォートリエ/ジャン・デュビュッフェ/ヴォルス など
ウィーン・アクショニズム 1960年代オーストリアのウィーンで出現したアートの動向で、身体を素材としタブーに踏み込むようなショッキングで過激なアクション/パフォーマンスなどを行った。 ヘルマン・ニッチ/オットー・ミュール/ギュンター・ブルス/ルドルフ・シュワルツコグラー/マリーナ・アブラモヴィッチ  など
もの派 1960年代の日本で、主に木や石や紙、金属、自然物や人工物などの『もの』をほぼそのまま単体や組み合わせて作品として掲示し、その『もの』自体に語らせる あるいはその『もの』に対し自由に関わることを探り、概念を変革させることを試みた一群の作家たちのこと。  イタリアのアルテ・ポーヴェラ(Arte Povera)とも類似。 関根伸夫/李禹煥(リ・ウーファン)/菅木志雄/高松次郎/高山登/成田克彦/原口典之/小清水漸/狗巻賢二/野村仁/榎倉康二/吉田克朗 など
浮世絵 浮世(現代)の様子を描いた江戸時代に発展した風俗画。当時人気の歌舞伎役者や美人、花魁、風景などが描かれている。 木版画で多く知られるが、肉筆で描かれた『肉筆浮世絵』もある。浮世絵版画は『絵師』『彫り師』『刷り師』それぞれによる複数の工程を経て制作される。多色刷りの浮世絵を『錦絵』と呼ぶ。浮世絵は大衆が気軽に購入できる出版物であり、その企画、宣伝、販売を行った地本問屋が『版元』であり、浮世絵の売れ行きは人気の絵師を採用するこの『版元』の腕にかかっていた。  浮世絵はゴッホやモネなどの19世紀末のヨーロッパの画家たちや、フランスの作曲家ドビュッシーなどにも影響を与えた。 菱川師宣(ひしかわもろのぶ)/葛飾北斎/河鍋暁斎/喜多川歌麿/歌川広重/鈴木春信 など
ポスト印象派(Post-Impressionism) 『post-』 = 『~の後の』。印象派の後の 意。 後期印象派(Post-Impressionism)/ポスト印象派 に同じ。 フィンセント・ファン・ゴッホ/ポール・ゴーギャン/ポール・セザンヌ/ジョルジュ・スーラ  など
表現主義 (expressionism) 内面的な感情や 意識を表現するため現実的なイメージを歪めて強調し表現するような芸術傾向。20世紀にはびこっていたブルジョア社会的価値観を放棄し、国家後援の芸術アカデミーを拒絶し、その表現は大胆で簡略化された形や歪んだ形、誇張されたり激しくぶつかり合う色彩などで表現された。 表現主義という語はあらゆる時代の作品に適用できるが、一般的には20世紀の芸術に適用される。 エドヴァルド・ムンク/カール・シュミット=ロットルフ/フィンセント・ファン・ゴッホ/エルンスト・ルートヴィッヒ・キルヒナー/ワシリー・カンディンスキー/オスカー・ココシュカ/ジョルジュ・ルオー/パウル・クレー など

 

お問い合わせ 資料請求