ジャック・ヴィヨン
Jacques Villon
1875年−1963年
ジャック・ヴィヨンは1875年、フランス・ノルマンディー出身の版画家・画家です。7人兄弟の長男で、マルセル・デュシャン、レイモン・デュシャン、スザンヌ・デュシャンと自身を含め4人が芸術家として成功しています。1894年にパリに出て法律の勉強を始めるもののすぐに興味を失ったヴィヨンは、翌年からエコール・デ・ボザールで芸術を学びます。卒業後は新聞や雑誌のグラフィック・アーティストとして働きながら兄とともにグループ展を開いたり、アカデミーで学んだりなどし、制作活動を続けます。
1911年にはフェルナン・レジェやフランシス・ピカビアらを含むキュビスムアーティストたちの集団「ピュトー・グループ」の設立を支援し、自らも一員として多くの銅版画家を制作します。1930年代までにはアメリカでの知名度が上がり、抽象画家のグループに属し国内外での個展も開催するようになります。ヴィヨンの銅版画は細かい線で形や陰を表現するクロス・ハッチングと呼ばれる技法を使って動的なイメージを紡いでいます。フラットで幾何学的なキュビスムのフォームと、印象派に見られる明るい色彩とを混ぜ合わせ、独自のスタイルを築きあげたヴィヨンの作品は、ニューヨークのグッゲンハイム美術館やMoMAなど、多くの美術館に所蔵されています。