エル・リシツキー
El Lissitzky
1890年−1941年
エル・リシツキーは1890年、ロシア出身のアーティストです。画家、デザイナー、タイポグラファー、写真家、建築家などとしてロシア構成主義の発展に貢献した、ロシア・アヴァンギャルドの最重要人物とされています。幼い頃から画家を目指し、サンクトペテルブルクの芸術大学を受験するも、ユダヤ人であることを理由に入学を断られ、画家の道を断念。ドイツの工科大学に進み、卒業後に建築家のアシスタントとなって美術館の設計に関わった経験が、後に諸外国で多くの展覧会や博覧会のプロジェクトにおいて素晴らしい仕事を行う基礎になりました。一方で画家になる夢も捨てきれず、ブックデザインやイラストレーションの仕事にも携わりました。その結果「プロウン」(新しいものの確立のプロジェクト)を提唱するに至ります。これはフォルムと構成の建築様式的な実験モデルとして知られており、立体要素を伴うシュプレマティスムの資格言語の探求であったとも言われています。
代表作として知られているのは、プロパガンダ・ポスター「赤い楔で白を撃て」です。作成当時の1919年、ロシアは内乱状態で、赤を共産主義者、白を保守派やリベラルに見立て、赤い楔が白いフォルムを打ち砕くイメージは、シンプルでありながらその意図をはっきりと表すメッセージ性の強い作品となっています。