ジャン=フランソワ・ミレー
Jean-François Millet
1814年−1875年
ジャン=フランソワ・ミレーは、1814年にフランス・ノルマンディ地方の農家に生まれた画家です。フランスの写実主義運動の一部として位置づけられるバルビゾン派創設者のひとりで、農家の人々の日常を描いた作品で知られています。1840年代から50年代にかけて、代表作でもある「箕を振るう人」、「種蒔く人」、「落ち穂拾い」などを発表した際は、それが貧しい農民の悲惨な生活を訴える政治的なメッセージと受け取られ、左右両派の激しい論争の的となったり、当時理想的で高貴な絵画を描くことが主流だった美術業界から反発を受けたりもしましたが、1864年にパリのサロンに出品した「羊飼いの少女」が絶賛されたことによりミレーの評価は一気に高まりました。
大地と共に生きる農民の姿を崇高な宗教的感情を込めて描いたその作品は、早くから日本に紹介され親しまれてきました。また代表作の一つである「晩鐘」は、夕刻に教会から聞こえてくる鐘の音に合わせて、作業中の農民夫婦が手を休め祈りを捧げる場面を描いたもので、特にアメリカで人気を博しました。ミレーはフィンセント・ファン・ゴッホやクロード・モネ、サルバドール・ダリら後世の作家たちへも大きな影響を与えています。