クリス・オフィリ
Chris Ofili
1968年−
1968年にイギリス・マンチェスターで生まれたクリス・オフィリは、チェルシースクールとロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学び、ヤング・ブリティッシュ・アーティストの一人として活躍する、数少ないアフリカ系のアーティストです。聖書やウィリアム・ブレイクなど宗教的かつ芸術的なものからブラックスプロイテーションの映画、ヒップホップ、ナイジェリアの遺産まで、多くのものからインスピレーションを受け、複雑で遊び心に満ちた多層絵画で知られています。波のような点の数々、漂流しているかのようなグリッター、画像のコラージュに象の糞を組み合わせた大きなペイント作品では、アフリカの文化、黒人に対する固定観念、歴史、異国情緒を描き出しています。
1996年の作品「聖母マリア」は油絵具、グリッターなどに加えポルノ雑誌から切り抜いた女性の生殖器の画像のコラージュと象の糞に取り囲まれた黒いマリア像を描いて物議を醸したと同時に、その名が広く知られるきっかけともなりました。2005年にトリニダード・トバゴに移り住んでからは、その豊かな風景と地元の伝統、そして過去にジンバブエで研究した洞窟壁画を取り入れ、力強くシンボリックで時に神秘的な作品を制作しています。オフィリは1998年にはターナー賞を受賞、2003年にはヴェネツィア・ビエンナーレに出品し、2017年にCBE(大英帝国勲章)を受賞しています。また、2020年東京オリンピックの公式ポスターも制作しています。