陳逸飛(チン・イッピ)
Chen Yifei
1946年−2005年
1946年、浙江省鎮海県に生まれたチン・イッピは、欧米で最も有名な中国人油絵画家であり、映像作家、映画監督、デザイナーとしても活躍した人物です。上海美術学校で油彩を学び、その才能から卒業と同時に画家としてのキャリアをスタートさせます。程なくして文化大革命が勃発すると、共産党の兵士や毛沢東の雄姿を描いたプロバガンダ作品で共産党幹部の注目を浴びるようになり、文化大革命が終わりを迎えてからはロマンティックでヨーロッパ的な作風へと変化していきます。
中国から初めてアメリカ留学を許可された芸術家のひとりであり、中国美学の新時代の先駆者となった陳は「文化大革命期の芸術と西洋の現代美術の橋渡しをした最初の第一人者」と言われ、絵画はもちろんのことファッション、映画、デザインなどの分野でも現代的な生活様式を提唱しました。油彩画では伝統的なチャイナドレスに身を包んだ哀愁漂う中国人女性を描いていますが、その画風や姿勢は唐の作品というよりも古代ギリシャの芸術作品を彷彿とさせる、写実的な技法とロマンティシズムを融合したものでした。数多くの油彩画を残した陳ですが、中でも傑作と言われている「山地風」、「玉堂春暖」、「夜宴」などはオークションで高値で競り落とされ、しばしば市場を賑わせています。