ピエール・アレシンスキーは 前衛芸術グループCoBrA(コブラ)に参加したことで知られるベルギーのアーティストです。作品『Central Park (1965)』のように 中世の挿絵や民芸、漫画のレイアウトなどを混ぜ合わせた彼の作品は 神秘的な謎の絵文書のように解されています。
「絵を描く時、私はモンスターを解放するのです」
「それらはすべてのアーティストたちが経験する すべての疑問や探求、模索の現れであり
内容を選ぶのではなく、それに従うのです」
アレシンスキーは1927年ベルギーのブリュッセルに生まれ、国立建築視覚芸術大学で学んだ後 パリに移り住みました。カレル・アペルやアスガー・ヨルンらと共に、ジャン・デュビュッフェのアール・ブリュットの表現的態度を基本理念としたグループの設立に尽力しました。パリにて東洋の書道芸術に興味を持ち始めたアレシンスキーは、1955年に日本を訪れ「日本の書」という短編映画を制作、その後も日本の伝統的な書を取り入れた作品を制作しています。またこの頃には、16世紀のフランドルの巨匠ピーテル・ブリューゲルやヒエロニムス・ボスの作品にみられるような奇妙はイメージを参照するようにもなりました。1960年と1972年にはベルギー代表としてヴェネツィア・ビエンナーレに出品しました。そして2007年にはアレシンスキーは ベルギー王立美術館での回顧展の対象となりました。2016~2017年には日本・ベルギー国交関係樹立150年を記念した大規模な回顧展が東京と大阪で開催されました。またアレシンスキーはベルギーからは初の高松宮殿下記念世界文化賞を受賞者となりました。
アレシンスキーは現在フランスのパリを拠点に活動しています。
彼の作品はロンドンのテート・ギャラリー、ケルンのルートヴィヒ美術館、ニューヨーク近代美術館、ブリュッセルのベルギー王立美術館などにコレクションされています。