ヤン・ヴォー
Danh Vo
1973年−
ヤン・ヴォーは1973年ベトナムに生まれ、4歳の時に共産政権から逃れるために父親の手作りボートで家族と共にベトナムを脱出し、貨物船に救出されてデンマークへと亡命したアーティストです。ヨーロッパで美術を学び、現在はベルリンとメキシコにスタジオを持ち、ノマド的スタイルで活動しています。
ヴォーは自身の経験、家族の歴史、社会的、政治的な歴史にまつわる既製品、手紙や写真、恩師、父親、恋人など自身を取り巻く大切な人たちの手によるものを取り込みながら作品化し、それらにはアイデンティティ、権力、歴史、エロティシズムと言ったテーマが直接的、あるいは比喩的に表現され、観るものにひとつの事物に対して異なる角度からの視線を持つことを誘っています。中でも、ベトナム戦争の和平交渉が行われたパリのホテル・マジェスティックの大広間に飾られていたクリスタルのシャンデリアを使った作品は、センセーションを巻き起こしました。このシャンデリアが吊るされていた建物の中で行われた交渉により、ベトナムが社会主義国へと舵を切ったことが、ヴォーの家族が祖国を脱出するきっかけとなったからです。ヴォーは世界中で個展を多数開催しているほかヴェネツィア・ビエンナーレやシンガポール・ヴィエンナーレなど国際展への参加も多く、その作品は各国の主要機関に収蔵されています。