アンドレ・ブッツァーは1973年、ドイツ・シュトゥットガルトに生まれた現代美術家です。2000年にハンブルクのアカデミー・アイソトロップを卒業し、画家としての活動を開始。現在はラングスドルフを拠点に活動しています。制作手法は多岐に渡り、戯画化されたキャラクターを登場させながら戯画と抽象を行き来する手法を特徴とし、その作品はしばしば「SF表現主義」と呼ばれています。初期にはアルベルト・ウールンやアスガー・ヨルンの影響を受け、リアリティのある強烈な色彩で表現力豊かな絵を描いていましたが、その後抽象化が進み、時折具象的な要素も散りばめられた作品が増えていきました。

2010年～2017年にかけて制作した「N-Paintings」は、色、光、調和、そして絵画表現の可能性を根本的に探求した黒の作品と言われ、代表作のひとつとして知られています。「N-Paintings」完成後カリフォルニアに移住すると、現地での経験によりブッツァーの絵に色と具象性が戻り、自分自身を刷新することができたようです。ブッツァーは現代ドイツ絵画の中堅作家としては中心的な存在であり、ゲルハルト・リヒターやゲオルク・バゼリッツの継承者とも評され、同世代の画家の中で最も国際的に認められているひとりです。これまでに世界各国で個展を開催し、いずれも高い評価を得ています。