チャード・ミズラックは1970年代にカラー写真と大判カメラの先駆者として活躍し、同世代で最も影響力のある写真家の一人として知られています。
ミズラックは1949年にロサンゼルスに生まれ、1971年にカリフォルニア大学で心理学の学士号を取得しました。『Desert Cantos』シリーズで最もよく知られるミズラックは 場所と人間の複雑な関係を多面的に研究し、40年以上にわたりランドスケープに携わってきました。シリーズ最新作である『Border Cantos』では メキシコの作曲家でありアーティストのギジェルモ・ガリンドとコラボレーションし、アメリカとメキシコ国境地帯の見えない現実を追求しています。最新の章である『Premonitions』と『The Writing on the Wall』では、ミズラックは南西部と南カリフォルニアの各地にある廃墟の建物に描かれたグラフィティを記録し、2016年のアメリカ大統領選挙の前後に大きく揺れ動いた政治情勢に対する怒りと不吉な反応を見出しています。その他の注目すべき作品群としては「Cancer Alley(癌街道)」として知られるミシシッピ川沿いの工業地帯の記録や 天候、時間、色、光に関する考察をしたゴールデンゲートブリッジの連続撮影、人間の交流と孤立を空撮した『On The Beach』などがあります。
ミズラックはワシントン・ナショナル・ギャラリーやシカゴ美術館、ロサンゼルス・カウンティ美術館、パリのポンピドゥー・センターなどで個展を開催しており、1996年にはヒューストン美術館でキャリア半ばの巡回展が開催されました。2002年にはドイツ写真協会より「Kulturpreis for Lifetime Achievement in Photography」を受賞し、2008年には「Lucie Award for Outstanding Achievement in Fine Art Photography」を受賞しました。ミズラックの作品については十数冊のモノグラフが出版されています。
彼の写真は、ニューヨーク近代美術館、ホイットニー美術館、メトロポリタン美術館、ワシントンDCのナショナル・ギャラリー、サンフランシスコ近代美術館など多くの主要な機関に収蔵されています。