ギュンター・ヘーゼ
Günter Haese
1924年−2016年
ギュンター・ヘーゼは1924年、ドイツ・キールに生まれた、キネティックアートを専門とする彫刻家です。独学で絵を描き始めたのは第二次世界大戦後の1945年。その後私立の美術学校を経てデュッセルドルフ美術アカデミーでエーヴァルド・マタレーに師事しました。1956年にはマタレーの彫刻クラスの修士課程に入学し、ケルン大聖堂の制作に携わりました。
1958年からはフリーランスのアーティストとしての活動を開始。真鍮線や解体された時計の部品であるぜんまいや歯車などが、空間を構成する要素であるということを発見し、1964年にはウルム美術館でこれら金属製品を用いて制作した作品で初の個展の開催に至りました。この個展は好評を博し、同年MoMAでも個展が開催されました。これを機に多く著名人をデュッセルドルフのアトリエに迎え、その知名度は急速に高まりました。
ヘーゼのオブジェは真鍮やリン青銅で作られた透明体で、球体や螺旋などの複雑なパーツが、はんだ付けしたメッシュワイヤーに張り巡らされたもので、極めて独特なキネティックアートです。グループゼロのギュンター・ユッカーらと異なり、ヘーゼの作品には電流を使っておらず、そよ風がそっと吹いただけで繊細な構造体が揺れ動く仕組みとなっています。ヘーゼはヴェネツィア・ビエンナーレのドクメンタ3に招待されたり、ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム財団から名誉ある賞を授与されたりするなど、その作品は高く評価されています。