ジャック・ベトリアーノは1951年、スコットランド・ファイフに生まれた画家です。中学卒業後、鉱山技師や管理職などの職に就き、21歳の誕生日に恋人から水彩画のセットを贈られたことをきっかけに絵を描き始めました。

オールドマスター、印象派、シュルレアリスム、そしてたくさんのスコットランドのアーティストの絵画を模倣し、独学で技術を習得したベトリアーノに転機が訪れたのは1988年。ロイヤル・スコティッシュ・アカデミーの展示会に2点のキャンバス作品を出品した時です。その初日に買い手がつき、いくつからのギャラリーから声がかかったのです。1992年には、エディンバラ・ギャラリーで初の個展の開催し、その後はロンドン、香港、ヨハネスブルグで展覧会を開催。1999年には初めてニューヨークで作品を公開するに至りました。そこにはイギリスから40人以上のコレクターが駆けつけ、21点中20点が販売されました。

フィルムノワール風のエロティックな男女の絵で知られるベトリアーノの作品は、エドワード・ホッパーを彷彿とさせる簡素なリアリズムを採用しており、滑らかな筆致が特徴的で、被写体はその環境からだけでなく互いに切り離されているようにも見えるのが特徴的です。作品は時に高値をつけオークション市場も賑わせるベトリアーノは、現在もロンドンを拠点に活動を続けています。

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