ジャン=ポール・リオペルは非具象的な風景画で知られるカナダの抽象表現主義の画家です。彼はカナダで初めて国際的な名声を得た画家の一人でもあります。チューブから直接絞り出した絵具を、パレットナイフでたっぷりと塗布した表現力豊かな抽象的作風で最もよく知られ、特に1950年代の「モザイク」作品は 彫刻的な質感を持つ独特の作品として有名です。
リオペルは1923年にカナダのモントリオールに生まれました。1940年代に地元の美術と家具の学校で学び、シュールレアリスム運動の分派であるレ・オートマティストの創立メンバーであったポール・エミール・ボルドゥアスの指導を受け、最初の抽象絵画を制作しました。1947年にパリに渡ったリオペルはシュールレアリスムの画家や作家の仲間入りを果たしました。その後1950年代には 筆で描く他、彫刻的なインパストや 絵の具を吹き付けた線、パレットナイフで絵具を塗る など様々な技法やメディアを試し彼の作風は大きく発展してゆきました。1959年にはアメリカの画家ジョアン・ミッチェルと出会い、芸術面だけでなく知的面でも互いに影響を与え合い、60年代を通じて暮らしを共にしました。
リオペルは1970年代にケベックに戻り、その後 数十年に渡り、彫刻やリトグラフ、アッサンブラージュなど多くの作品を制作しました。1992年の秋、25年以上連れ添ったジョアン・ミッチェルの死を知ったリオペルは、彼女の思い出に捧げる記念碑的フレスコ画『L’Hommage à Rosa Luxemburg』を制作しました。この作品は1995年にパリ近郊のラ・ロシュ・ギュイヨン城で公開され、1996年にはケベック美術館(現ケベック国立美術館)で発表され、その後 常設展示されるようになりました。
ジャン=ポール・リオペルは2002年にカナダのリスル=オー=グリュで亡くなりました。彼の作品は現在、カナダ国立美術館、ロンドンのテート・ギャラリー、シカゴ美術館、ヴェネツィアのペギー・グッゲンハイム・コレクションなどに所蔵されています。
▼公式サイトはこちらから
https://fondationriopelle.com/en/home-page/