ジリ・ゲオルグ・ドコピルはチェコ系ドイツ人のアーティストです。
多様で豊かな芸術的影響を受けた現代的ではっきりと分類できないスタイルの制作・展示を行い、芸術、技術、科学の領域を軽やかに行き来しています。1970年代後半から1980年代にかけてドイツで興り、ミニマリズムやコンセプチュアル・アートへの反発を表明した芸術家集団Mülheimer Freiheit（ミュールハイマー・フライハイト）やJunge Wilde Art（ユンゲ・ヴィルデ）運動の創設メンバーとして活躍したことでも知られています。

ドコピルは1954年にチェコ共和国クルノフに生まれ、1968年のソ連軍によるプラハ侵攻の後、家族と共にオーストリアを超えドイツに逃れました。そして1976年からケルンの美術アカデミーで学び、その後フランクフルト大学、ニューヨークのクーパー・ユニオンで学び ドイツのコンセプト・アーティスト、ハンス・ハーケに師事しました。
彼の代表的な作品の一つである「ソープ・バブル・ペインティング（シャボン玉ペインティング）」シリーズでは、ライ・ソープ（アルカリ石鹸）に様々な顔料を混ぜ、布の表面に 半透明の薄いシャボン玉の層を作り出しています。電気的な明るさと有機的な泡は、水中生物の広大な神秘を思い起こさせます。

ドコピルは1983年から84年までデュッセルドルフ美術アカデミーで客員教授を務め、1989年にはマドリッドで教授を務めました。1987年のヴェネツィア・ビエンナーレや　カッセルのドクメンタで作品が紹介されるなど、彼は世界各地で数多くの個展を開催しています。
彼の作品は、ベルリンのハンブルガー・バーンホフ現代美術館、ベルリン国立美術館、パリのポンピドゥー・センター、マドリッドのレイナ・ソフィア・センター、韓国ソウルの国立現代美術館など 多くの美術館にコレクションされています。