加賀温は、1978年東京生まれ。高校卒業後、アイルランドに語学留学。ダブリンのアート&デザイン国立大学(National College of Art and Design)を終了。その後ダブリンを拠点にアーティスト活動をスタートします。
2005年に初個展、2018年までダブリン、ニューヨーク、サンパウロなどで個展を多数開催しました。その間2011年にはアーティストレジデンシープログラムでニューヨークのISCPに滞在。アートバーゼルマイアミ、FIACなどのアートフェアでのソロプレゼンテーションにより、幅広い層から注目を集めました。その後もグローバルに活躍する加賀温は各国で熱心なファンを獲得しています。
2018年に期間限定で京都にアトリエを移し、それまで基盤としていた17世紀オランダ絵画の影響に加え、琳派などの絵師の目線で町屋の軒先の花々の四季に目を向けるうちに新たな表現が花開きます。
この時の経験を加賀は「去年京都に住んで以来、自分は絵師なんだなと思いました。脈々とつながる、日本美術の先にいると思ってます。北斎や若冲のDNAを引き継いでいると思ってます。17世紀のオランダ画家にも近い感じがします。いろいろなタイプのアートがあっていいと思いますが、自分は絵の美について研究するもんなのだなと、腹を決めました。」と語っています。
2016年ごろから描いていたテーブルにオブジェクトを並べていくシリーズでは日本的な要素と西欧の伝統的な静物画の美意識が調和し、より成熟した作品に発展しました。
また加賀は、UsacchiやPanda dadなど個性的な愛称が付けられて擬人化された動物たちを継続して描いています。アイルランドで吸収したケルト文化や民族の歴史と生まれ育った日本の文化が融合したハイブリッドなキャラクターたちは、一見ふわふわで可愛いながら、それでおさまらない少々のダーク感やシュールレアリスムが見え隠れし、喜怒哀楽に満ちた様子には人間以上に人間らしさが感じられます。