イリヤ・カバコフは1933年に旧ロシア（現ウクライナ共和国）で生まれたアーティストです。文化統制により作品公開の自由すらなかった旧ロシア時代、その管理された日常を外部の視点でユーモラスに批判した作品を制作していたカバコフは、アンダーグラウンド作家のリーダー的存在でした。

作品発表の自由が得られるようになった1980年半ば以降、抑圧された状況の中で育まれたという観察眼や思案を創作のベースに、言葉、空間、イメージ、音などを用いた｢トータル･インスタレーション｣という表現手法を用い、妻のエミリア・カバコフとともに活動をはじめます。「異常な状況下で普通の生活をしようと努力している人々」を一貫して作品のテーマとし、その作品は時代や国境をこえて支持されています。

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