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ARTIST/ART

ジュリー・メレツ
Julie Mehretu
1970年―

ジュリー・メレツはエチオピア生まれのアメリカの現代アーティストです。
キャンバスにアクリル絵の具を塗り、鉛筆やインク、絵の具の太い流れのマークメイキングを描き、何層にも重ねた大規模なジェスチュラル・ペインティングで知られています。彼女の作品は 時間や空間、場所の重なりや圧縮、イタリア未来派のダイナミズムや カジミール・マレーヴィチの幾何学的抽象表現から抽象表現主義のカラーフィールド・ペインティングの包み込むようなスケール感まで、様々な美術史的参照の崩壊を告げています。

「私は 概念的、政治的、あるいは単に視覚的に興味のある素材を用いて制作しています」

「私はこれらの材料から 引き抜き、投影し、トレースし、分解し、再文脈化し、互いに重ね合わせ、絵画のDNAに包み込むのです」

彼女の描く線は ピエト・モンドリアンのようなモダニズムの画家の作品と同様に、私たちの都市や建物の多くを根拠づけ、合理化する構造です。それは 21世紀の新しいパラダイムを示唆するものであり、動き続けるもの、つまり発展的なベクトルであり、全体として 宇宙やシステム、マス・ムーブメントや時間の経過といったものを連想させます。メルツの絵画は、私たちがこの世界について語る方法を 常に進化させ、それ自体が抽象化された形であることを示し、可視化しているように見えます。
彼女は自分の絵画を「psychogeographies(サイコジオグラフィー)」呼び、時間、空間、場所を超えた記憶の問題に触れています。

メレツは1970年にエチオピアのアディスアベバで、エチオピア人の父とアメリカ人の母の間に生まれました。1977年に軍の指導者が恐怖政治を始めたために、一家はアメリカに逃亡しました。このような 移住とディアスポラの経験は、彼女に 政治がどのように世界の潮流を作り出すかということへの視点を与えました。彼女はミシガン州カラマズー大学で学士号を取得後、セネガル・ダカールのシェイク・アンタ・ディオップ大学で学び、1997年にロードアイランドデザインスクールで美術修士号を取得しています。近年ではグッゲンハイム美術館で開催された史上初のアーティストがキュレーションした展覧会『Artistic License: Six Takes on the Guggenheim Collection』に招かれ、2020年にはタイム(TIME)誌による「世界で最も影響力のある100人のリスト」に選ばれています。

彼女の作品はホイットニー美術館での個展をはじめ、ロサンゼルスカウンティー美術館、ポルトガルのセラルヴェス現代美術館、スペインのボティン芸術文化センター、デトロイト美術館、ウィリアムズ大学美術館、アディスアベバのゲブレ・クリストス・デスタ・センター、ニューヨークのソロモン・R.グッゲンハイム美術館、ベルリンのグッゲンハイム美術館、ハノーファーのクンストフェライン、ウォーカー・アート・センターなど世界中で数多くの展示されており、また作品はワシントンD.C.のナショナルギャラリー、サンディエゴ美術館、ミネアポリス美術館、カーネギー美術館、ロサンゼルスのハマー美術館、ウォーカー・アート・センター、ハーレム・スタジオ美術館、ニューヨーク近代美術館などに所蔵されています。

ジュリー・メレツは現在ニューヨークを拠点に活動しています。

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