アドルフ・モンティセリ（Adolphe Joseph Thomas Monticelli：アドルフ・ジョゼフ・トマ・モンティセリ）はフランス印象派の前の世代の画家です。渦を巻くように塗られた厚い絵の具を用いて、輝く光と深い影による詩的で幻想的な表現を行いました。
彼の作品はフィンセント・ファン・ゴッホにも賞賛され、19世紀の芸術よりも20世紀の芸術に大きな影響を与えました。

1824年フランスのマルセイユで生まれたモンティセリは1842年から1846年までマルセイユ市立美術学校に通い、その後1846年から1948年にかけてパリのエコール・デ・ボザールでポール・ドラローシュの下で学びました。パリではルーヴル美術館に収蔵されている名作の模写も行い、中でもウジェーヌ・ドラクロワの作品を崇拝していました。1856年に再びパリを訪れた際に画家のナルシス・ディアズ・ド・ラ・ペーニャと出会い、彼の色使いや題材の選び方に影響を受けました。マルセイユに戻った彼は1860年頃には独自のスタイルを確立し、その後パリに戻りました。
1870年の独仏戦争でパリを離れマルセイユに戻り、多作ながらも貧しい暮らしを送り、作品を小額で売っていました。名利心のない彼は ひたすら絵を描き続けました。1860年代にはポール・セザンヌと親交を深め、セザンヌの作品にもモンティセリの影響が見られます。二人は共に田園を歩き回り、風景画を描きました。

1886年に亡くなるまでの10年間、モンティセリの作品は最ものびのびと描かれています。