アファンディは純粋な表現主義を貫いたインドネシアの現代画家の一人です。
彼はそのキャリアの初期には写真的なリアリズム絵画、つまりカメラで撮った写真のような作品を描いていました。パステルを用いて描かれた作品『Kartika Affandi(1939)』『Mother(1940)』などには、心理的な要素はあまり表れていません。一方、水彩作品『Self-portrait(1944)』や油彩作品の『Learning Anatomy (1948)』に見られるように、表現主義につながる痕跡を示すリズミカルなストロークのあるリアリズムの絵画もあります。これらの作品で、彼は自分の感情を描く対象物に注ぐようになりました。単に対象物の視覚的な印象に熟達していることを示すだけでなく、感情的、美的な秀逸さが作品に反映され始めました。
1960年代から晩年まで、彼は絵の具をチューブから直接キャンバスに絞り出す技法を用いていました。これはある時、描いている最中に筆が折れてしまい、それでも絵を描き続けるために絵具をチューブから直接キャンバスに絞り出し 手の甲を使って曲線を描くという、偶然に生み出した技法でした。
彼の思想と対象は相互に関わり合っており、絵を描く前には常に対象を探求していました。彼の創作過程で生まれた美しさは、対象物やその時の雰囲気、感覚に合わせて自然に発生したものです。アファンディは、人生そのものを描いたのです。
アファンディはインドネシア西ジャワのチルボンで生まれ、ジャカルタ・バンドゥン・バリ島のウブドで暮らし、インドやヨーロッパを旅した後、晩年はジョグジャカルタで暮らしました。ジョグジャカルタで彼が暮らし、制作活動にいそしんだ邸宅は 現在アファンディ美術館として開かれています。
▼アファンディ美術館 公式サイトはこちらから
https://www.affandi.org/