アルベルト・ウールンは 同じくアーティストである弟のマルクス・ウールンやマルティン・キッペンベルガーらと共に1980年代のハンブルグのアートと音楽のシーンで注目されたアーティストです。ジャンルとしての絵画を探求することに興味を持ち、彼の絵画は抽象からリアリズムまで絶え間なく循環しており、しばしば伝統的な絵画モデルのパロディや模倣を行っています。彼の代表的な作品には、1986年に制作されたアドルフ・ヒトラーの肖像画を含む『Bad Paintings』シリーズや、1990年代初頭に制作されたノートパソコンから抽象的なイメージを抽出した『Computer Paintings』などがあります。

「繊細さと粗さ、色と曖昧さ、そしてそれらすべての根底にあるヒステリーのベース・ノート（ベース音）、
　それらをまとめて見てみたいのです」

ウールンは1954年ドイツのクレーフェルトに生まれました。1978年にベルリン芸術大学でジグマール・ポルケに師事して卒業し、1981年にベルリンのマックス・ヘッツラー・ギャラリーで初の個展を開きました。80年代後半には「post-non-figurative（ポスト・ノンフィグラティヴ）」と称して、従来の抽象芸術の常識を覆す作品を発表しました。2000年から2009年まで、ウールンはデュッセルドルフ芸術アカデミーで絵画の教授を務めました。2015年にはニューヨークのニューミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アートで大規模な回顧展「Albert Oehlen: Home and Garden」が開催されました。

ウールンは現在スイスのビューレンとスペインのセゴビアを拠点に活動しています。彼の作品はニューヨーク近代美術館、ストラスブール近代・現代美術館、クリーブランド美術館などに所蔵されています。