アンス・アルトゥング
Hans Hartung
1904年-1989年
アンス・アルトゥングはドイツ生まれでフランスを拠点に活躍した抽象画家で、抽象表現主義の巨匠。
ジェスチャー抽象スタイルの創始者で、フランスを中心に発展した「アンフォルメル(非定形芸術)」の主要人物として知られています。
若い頃から抽象芸術に関心を抱き、1920年代にパリへ移住。ナチス政権の台頭を受けて亡命し、第二次世界大戦中はフランス外人部隊に志願、戦傷で片脚を失うという過酷な経験を経ました。その後フランス国籍を取得し、戦後美術の中心的存在として活動を続けます。
彼の作品は、鋭く走る線や激しいストロークが画面を横切る、躍動感あふれる表現が特徴です。筆に限らず、枝やナイフ、スプレーなど多様な道具を用い、偶然性とコントロールを融合させた独自の抽象世界を築きました。
1960年にはヴェネツィア・ビエンナーレで大賞を受賞。多くのアメリカ人画家にも影響を与え、抽象美術の重要な流れである「アンフォルメル」や「リリカル・アブストラクション」の先駆者となりました。
晩年まで実験的な制作を続けたアルトゥングは、具象を離れた線と色彩の詩的な世界を追求。抽象絵画の中で独自の地位を確立しました