アンネリーゼ・ハーガー
Anneliese Hager
1904年−1997年
アンネリーゼ・ハーガーは1904年、ドイツ・シュナイデミュール(現:ポーランド・ピラ)に生まれたシュルレアリスムの詩人、芸術写真家であり、とりわけ抽象的なフォトグラムで知られる存在です。1920年から2年間にわたりベルリンのレテ協会の写真学校で金属写真家としての訓練を受け、当初はモダンアートの分野での写真家として活躍していました。1933年、モホリ=ナジ・ラースローやマン・レイの作品に影響を受けたアンネリーゼは、アーヘンでナチス支配下の隠遁生活を送りながら実験的にフォトグラムの制作を始めました。
超現実的で抽象的なフォトグラムを自作の詩の挿絵に使用するなどしていましたが、移り住んで活動拠点としていたドレスデンが爆撃され、1945年に全ての作品を失ってしまいました。大戦後もケーニッヒスフォルデでの生活の中で地道に写真印刷の実験を続けたヘーガーのフォトグラムは、ジンドリヒ・ハイスラーやグードルン・アールバーグらの作品に近いものがあり、純粋なデザインというよりも新しい空間、驚きのある新しい目的地を作ることを目指すものでした。感光紙の上に散らばるフレークや粒など偶然生まれた要素と、あらかじめ作業された要素を組み合わせた作品は、後の抽象表現主義の発展をも先取りするもので、彼女は同世代の人々から「フォトグラムの老師」と呼ばれるほどでした。しかしその作品を発表することはほとんどなく、「隠遁の芸術家」とも称されていました。