アンリ=エドモン・クロス(本名:アンリ=エドモン・ドラクロワ Henri-Edmond Joseph Delacroix)は、雰囲気のある風景画で知られるフランスの新印象派の画家です。彼はジョルジュ・スーラやポール・シニャックらと共に、対照的な色相を用いて 光の感じを作り出す点描法の提唱者となりました。
『これらの風景画は 単なる美しさのページではなく、叙情的な感情を体現したモチーフなのです』
詩人エミール・ヴェルハーレンは かつて彼の作品についてこのように書きました。
1856年フランスのドゥエに生まれたアンリ=エドモン・ドラクロワはエコール・デ・ボザール(国立高等美術学校)で学びました。1881年にパリに移住した彼は ロマン派の著名な画家ウジェーヌ・ドラクロワと間違われないようにするため、姓をドラクロワからクロスに改名しました。その三年後、彼は公式サロンへの挑戦としてSociéte des Artistes Indépendants(独立美術家協会)の設立を支援しました。1891年までには 彼は戸外制作を描きながら、色彩分割(点描)を使い始めていました。同年彼は関節炎の治療のために南フランスに移住しました。彼とポール・シニャックはこのサン=トロペで 後に野獣派となったアンリ・マティスやアンドレ・ドラン、アルベール・マルケらと親しくなったのです。
その後 数十年の間にクロスは水彩画を取り入れ、点描画の厳格なアプローチは徐々に緩み、おおらかで整然とした筆遣いに変わってゆきました。クロスは1910年にフランスのサン=クレールで亡くなりました。
現在彼の作品はパリのオルセー美術館、ニューヨークのメトロポリタン美術館、マドリードのティッセン=ボルネミッサ美術館などに収蔵されています。