イリヤ・ボロトウスキーは オランダの画家ピエト・モンドリアンが提唱したデ・ステイルの理念を取り入れたことで知られる、ロシア生まれのアメリカ人画家です。ボロトウスキーは、デ・ステイルの構造と色の外側に 幾何学的な形と色を取り入れて、瞑想的な色の関係に基づいた美学的に独立した作品を制作しました。
「絵画が網膜を侵食し、音楽が鼓膜を徐々に破壊する今日、
調和と均衡を得るための新たな方法を模索する芸術が より一層必要とされているはずだ」
ボロトウスキーは1907年にロシアのサンクトペテルブルクに生まれ、1923年にニューヨークに移住しました。国立デザインアカデミーに入学し、彼はそこでアドルフ・ゴットリーブやマーク・ロスコと出会いました。1936年にはWPA(公共事業促進局)の委託を受け、ブルックリンのウィリアムズバーグ住宅プロジェクトの壁画を含むいくつかの抽象的な壁画を制作しました。1946年から1948年までボロトウスキーはブラック・マウンテン・カレッジで教鞭をとりました。画家のケネス・ノーランドは当時の彼の生徒の一人でした。ボロトウスキーは1974年にはソロモン・R・グッゲンハイム美術館で回顧展の対象となりました。
1981年ボロトウスキーはニューヨークで亡くなりました。
2012年ノースカロライナ州の女性が、自分のペットの肖像画に再利用する目的で 地元のグッドウィルストアで10ドルの絵画を2枚購入しました。その後 この2枚の絵がボロトウスキーのものであることが確認され、そのうちの1枚「Vertical Diamond」(1966年)は、同年末のサザビーズのオークションで34,375ドルで落札されました。
ボロトフスキーの作品は現在、シカゴ美術館、ニューヨーク近代美術館、ワシントンD.C.のフィリップス・コレクション、フィラデルフィア美術館などに収蔵されています。