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ARTIST/ART

ウィリアム・ケントリッジ
William Kentridge
1955年-

ウィリアム・ケントリッジは南アフリカ、ヨハネスブルグ出身のアーティストです。パワフルで独創的、彼は同世代の中でも偉大な芸術家の一人として国際的に認められています。ケントリッジは 木炭画を部分的に何度も何度も消しては描き加えていき、その変化を一コマずつ撮影し繋げた「動くドローイング」と呼ばれるアニメーションフィルムで知られています。彼は 自伝と架空の人物の物語を合成し、黒い木炭とインクで表情豊かなジェスチャードローイングを描きます。そしてドローイングの他 彫刻、エングレーヴィング、タペストリー、パフォーマンス、ビデオインスタレーションなど様々な表現媒体を探索しています。
彼の豊富な作品群は南アフリカのアパルトヘイトや脱植民地化、政治紛争、第一次世界大戦におけるアフリカの役割など 非常にデリケートなテーマについて、詩的かつ批判的なビジョンをもたらします。

 『私の作品は その瞬間の暫定性についてのものです』

彼の作品は 時と共に風化し 見えなくなってしまう陰鬱な歴史の痛みを露わにし、人の視覚や記憶というものが 暫定的で不確かなものだということを 私たちに気づかせます。

ケントリッジは1955年南アフリカ、ヨハネスブルグに生まれました。アパルトヘイトによって疎外された人々を代表する弁護士の息子として育った彼は  ヨハネスブルグで政治を学んだ後、俳優になることを目指しパリでパントマイムと演劇を学びました。その後ヨハネスブルグで舞台やテレビで演技や演出を手掛けながら、一方で彼は「手が脳を導くべきである」という信念を持ち版画やドローイングの制作もしていました。そんな彼が 映画制作とドローイングを組み合わせてアニメーションにすることは、ごく自然な流れだったのです。
そしてケントリッジは短編映画シリーズ『9 Drawings for Projection:プロジェクションのための9つのドローイング (1989–2003)』で国際的な評価を得ました。2016年にはロンドンのホワイトチャペル・ギャラリーで個展『Thick Time』を開催し、1920年代のテクノロジーやダダイズムのコラージュを想起させる作品を発表し、批評家たちから絶賛されました。またケントリッジはオペラの演出など音楽分野でも活躍しています。2017年ザルツブルク音楽祭でアルバン・ベルクの『Wozzeck(ヴォツェック)』を演出し、好評を博しました。2018年には東京の新国立劇場でモーツァルトの『魔笛』を演出、ロンドンのテート・ギャラリーにて 第一次世界大戦で荷物担ぎとして動員されたアフリカ兵の戦争参加を題材にした『ザ・ヘッド・アンド・ザ・ロード』を発表し、2019年には日本の第31回高松宮殿下記念世界文化賞を受賞しました。

ケントリッジは南アフリカ、ヨハネスブルグに暮らし、活動を続けています。
彼の作品はニューヨークの近代美術館、シカゴ美術館、ロンドンのテート・ギャラリー、ミュンヘンのゲッツコレクション・現代美術ギャラリーなどのコレクションに収蔵されています。

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