ウジェーヌ・ドラクロワは、1798年にパリ近郊のシャラントンに生まれた19世紀フランスのロマン主義の代表的な美術家です。ドラクロワの表現豊かな筆使いと光や色の効果に対する技術的探求は後に印象派の画家たちに多大な影響を、またエキゾチックなものに対する情熱はフォーヴィスムの芸術家たちに影響を与え、ピカソ、ルノアール、マティスなど後続の画家たちは数多くの模写やオマージュを残しています。実際に起こった事件を主題とし、観るものを圧倒する情熱と激情的な筆使いで描くのが特徴で、その作品は輪郭やデッサンの正確さよりも色彩や動き、情動のような心の動きを強調するものでした。

社会と絵画の革命時代の象徴として、今もフランスの人々に愛されているドラクロワの代表作「民衆を導く自由の女神」は、自身の肖像とともにフラン紙幣にも描かれました。壮年期以降は政府の依頼を受けリュクサンブール宮殿やヴェルサイユ宮殿、パリ市庁舎などに多数の神話画の大作を描き、教会の壁画のための宗教画も残すなど旺盛に政策を続けました。ルーヴル美術館から歩いて20分ほどのところにあるドラクロワのアトリエ兼自宅は、現在「国立ウジェーヌ・ドラクロワ美術館」となっています。

 

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