エットーレ・スパレッティ
Ettore Spalletti
1940年ー2019年
エットーレ・スパレッティは1940年、イタリアのカペッレ・スル・ターヴォで、大工である父と刺繍職人である母のもとに生まれました。生まれ故郷で美術を学び、その後も生涯にわたりその地で活動を続けた画家です。
初期の作品は当時イタリアで主流だったアルテ・ポーヴェラ運動のもとで制作され、アーティストとして成長を遂げていましたが、色彩を愛するスパレッティの作品は、彼らのグレートーンの完成とは一線を画したものでした。その代わりにインスピレーションを得たのが、ルネサンス期のマサッチオやピエロ・デラ・フランチェスカのフレスコ画です。顔料とチョークを混ぜ合わせたものを、毎日同じ時間に薄く塗り重ねる作業を2週間以上続けた後、表面をサンディングすると、粉状の光り輝く色面が現れるという手法で、パウダリーなブルーやピンクを作中に取り入れたのです。
1976年頃からは古典的でありながらミニマリズムも取り入れた方法で、光り輝くキャンバス作品や彫刻作品を制作しました。また、イタリアの伝統的な絵画技法であるインパスト技法を用いて大理石などの素材に絵具を塗布し、崇高な三次元絵画も制作しています。スパレッティの作品はヴェネツィア・ビエンナーレに4回出品されているほか、ドグメンタにも2度参加しています。