エドワード・シーゴー
Edward Seago
1910年−1974年
エドワード・シーゴーは1910年、イギリス・ノリッジに生まれました。心臓病を患い、幼少期のほとんどを寝たきりで過ごしたシーゴーは、正規の教育を受けることがほぼできずにいました。そんな中、アルフレッド・マニングス卿らから手ほどきをうけつつ、ほぼ独学で芸術を学び、14歳の時に王立デッサン協会の賞を受賞しました。
当時から自分のやりたいことが決まっていたシーゴーは、18歳になるとロンドンのバレエやサーカスのツアーに参加し、目の前で繰り広げられる演技の興奮やその動きを記録しました。その記録をもとに、1930年代にはサーカスに関する3冊の図鑑をはじめ、多くの本と絵画を完成させました。第二次世界大戦中は英国工兵隊に所属し、迷彩服のデザインや開発に従事していました。身体的には兵役に不向きであっても、芸術的な才能で戦争に貢献した形です。
シーゴーは、イギリスのポスト印象派を代表する画家のひとりとして知られ、海辺の風景や街並み、庭、ポートレートなどを描いた水彩画や油彩画を得意としています。英国王室やアーガー・ハーンから一般庶民に至るまで幅広い層に支持され、毎年開催される世界各地での展覧会では、シーゴーの絵を買い求める人たちが行列を作るほどだったといわれています。とりわけ英国王室はこぞって作品を収集していたようで、2002年にはエリザベス2世が所有するベントレーに、女王が乗っている時にだけ取りつけられる聖ゲオルギウスと竜のマスコットのデザインも手がけたほどです。シーゴーは1974年になくなりましたが、その死後も各地で大規模な個展が開催されるなど、高い人気を誇っています。