エドワード・ホッパーは20世紀アメリカの具象絵画を代表するアーティストです。
ホッパーはニューヨーク州ナイアックで生まれ、幼いころからハドソン川で蒸気船をスケッチしていました。コマーシャルイラストレーターとして訓練を受けた後、ニューヨーク美術学校に移りジョージ・ベローズと共にウィリアム・メリット・チェイスやロバート・ヘンライの下で絵画を学びました。1905年に卒業したホッパーは広告代理店でイラストレーターとして働いていました。注文通りに絵を描くイラストレーターの仕事は彼にとって納得のいく仕事ではなく この仕事をひどく嫌っていましたが、経済的な事情から1920年代半ばまで続けることになりました。その後パリをはじめヨーロッパへ何度も足を運び、フェルメールやレンブラント、ベラスケスの絵に出会います。中でもレンブラントの『Night Watch(夜警)』には特に感銘を受けたとホッパーは語っています。1923年には6枚の水彩画をブルックリン美術館に販売し、その後イラストレーターを引退し絵画に専念できるようになりました。
光の画家と称されるレンブラントの作品に強く心惹かれたホッパーもまた「光」を終生追求し続けた画家でした。
アメリカのアメリカらしい田舎や都会の風景、その一部として描かれる孤独な肖像。まるでロード・ムービーのワンシーンを切り取ったような、日常的で写実的でありながら想像力を掻き立てる独特のムードを孕んむ彼の作品は映画や文学、絵画など芸術界に広く影響を与えています。
映画監督アルフレッド・ヒッチコックはホッパーの『Maison pres de la voie ferree(線路脇の家)1925』にインスパイアされ映画『Psycho(サイコ)』の中のモーテルをデザインしました。文学界ではローレンス・ブロック、スティーヴン・キングを含む17人の作家たちによるホッパーの絵をもとに物語を紡いだ短編小説集『短編画廊 絵から生まれた17の物語』が出版されています。他にもデイヴィッド・ホックニーやマーク・ロスコ、トッド・ヘインズ、ノーマン・メイラー、ヴィム・ヴェンダースなど名だたる多くの映画監督や作家、アーティスト達に愛され 永続的な人気を博しています。
2018年ニューヨーク・クリスティーズで開催された実業家バーニー・エブスワース(Barney Ebsworth)氏のコレクションから出品されたホッパーの『Chop Suey』(1929)がオークションの目玉となり、91,875,000ドル(約101憶円)で落札され話題になりました。
▼エドワード・ホッパー ハウス ミュージアム&スタディセンターのサイトはこちらから
http://www.edwardhopperhouse.org/