エミール・ガレ
Émile Gallé
1846年−1904年
エミール・ガレは、19世紀後半の「アール・ヌーヴォー」を代表するフランスの工芸家です。1846年、フランスのロレーヌ地方に生まれ、19歳の時にドイツのワイマールに留学してデザインを学び、帰国後はマイゼンタールにあるブルグン・シュヴェーラー社でガラス工芸の技法を学びました。1877年に父の工場の管理者となるとガラスと陶器の職人を雇い入れ、職人兼アート・ディレクターとして制作を始めます。翌年のパリ万博では出品作のガラスと陶器でそれぞれ銀賞と銅賞を受賞し、その実力が評価されると共に存在が注目されます。
当時のヨーロッパではジャポニスムが流行しており、万国博覧会に出品された日本美術などが注目を集めました。そこでガレは浮世絵などの日本美術や極東や東方の文化と美術品に親しみ、積極的にその意匠や要素を取り入れて独自の表現を確立していきます。1885年頃には、当時フランス留学中だった官僚 高島得三と交流を持って日本の文物や植物などの知識を得、この交流が契機となって水墨画的なぼかし表現を伴う黒褐色のガラスが生まれるに至りました。またガレは植物学にも極めて深い造詣があり、初期の陶芸作品や後のガラス作品のモチーフとしても多くの植物が取り入れられています。