エンリコ・バイ
Enrico Baj
1924年―2003年
エンリコ・バイは政治的なコラージュや版画、絵画、彫刻などで知られるイタリアのアーティストです。
彼の作品は 核戦争、疑似哲学「パタフィジックス」、人間の性など様々な社会的・科学的テーマに影響を受けており、それらを子供のような抽象的なイメージで表現しました。
「エンリコ・バイは とても面白い人だ」
ニューヨーク・タイムズ紙の評論家ジョン・ラッセル氏は、このアーティストについて次のように述べています。
「例えば、すべての人間は相反するものの戦いの場であり、その戦いはあっちへ行ったりこっちへ行ったりして、どちらか一方の決定的な勝利に終わることはほとんどないというような、私たちが日々認識している事実を、彼は非常に有益に反芻してきた」
エンリコ・バイは1924年イタリアのミラノに生まれ、ブレラ美術アカデミーとミラノ大学で学び、法律の学位を取得しました。アーティストとしてのキャリアをスタートさせた当初は 政治的な反発を行い、時事問題を批判する作品を制作していました。1951年にはアスガー・ヨルンと共に、広島・長崎への原爆投下後の原子力利用を批判するアーティストたちの集まりであるMovimento Nucleare(モビメント・ヌクレアーレ)を設立しました。彼はヨーロッパの運動CoBrA(コブラ)にも参加し、小説家のウンベルト・エーコやイヴ・クライン、マルセル・デュシャンなど進歩的なアーティストや知識人と共に活動しました。
エンリコ・バイはイタリアのヴェルジャーテで亡くなりました。彼の作品はシカゴ美術館、ニューヨーク近代美術館、テート・ギャラリーなどに所蔵されています。