オットー・ディクスはドイツの画家であり版画家です。ノイエ・ザッハリヒカイト(新即物主義)の最も重要な画家の一人として知られています。
彼は 第一次世界大戦の地獄のような塹壕で在役した時間に大きな影響を受けました。代表作である『The Trench:塹壕 (1923)』は、精神を深く掘り下げた一連の作品「Der Krieg(戦争)」(1929〜32年)の前身でした。
「芸術は悪魔祓い(嫌な思い出を忘れること)です。
私も夢や理想 を描きます。私の時代の夢と理想を。」
「絵を描くことは秩序を生み出す努力です。自分自身で整えるのです。
私には多くの混乱があり、私たちの時代には多くの混乱があります。」
オットー・ディクスは1891年ドイツのチューリンゲン州ゲーラ近郊のウンテルムハウスで生まれ、1910年美術を学ぶためドレスデンに移りました。やがて第一次世界大戦が勃発しました。彼は志願兵として従軍しフランスのフランドル地方やロシア前線など転戦し、塹壕戦の生々しい現実を描き留めたのです。終戦後 街に戻り再び美術を学んだ後、1920年の第一回国際ダダ見本市に出展しました。1925年ベルリンに移った後、ディクスはルーカス・クラナッハやハンス・バルドゥング・グリーン、アルブレヒト・デューラーなど北方ルネサンスの画家に影響を受け、自身の成熟したスタイルを開発し始めました。1927年ディクスはドレスデン芸術アカデミーの教授となりました。しかし1930年代にはナチスの台頭とともに教職を追われ、1937年に『退廃芸術展』に作品が展示され、その翌年には260点もの作品が押収されました。
1945年には国民突撃隊に招集され従軍し フランス軍の捕虜となりました。1946年に解放され、その後はソ連占領下のドレスデンで活動を再開しましたが1949年に州立シュトゥットガルト芸術アカデミーの教員として招かれ、西ドイツに移りました。
ディクスは現実を直視し、鋭い批判精神で矛盾に満ちた戦後ドイツの頽廃した社会情勢を「魔術的リアリズム」とも呼ばれる生々しさで表現し 多くの風俗画や肖像画の傑作を残しました。
今日彼の作品は ニューヨーク近代美術館、ベルリーニッシェ・ギャラリー(ベルリン美術館)、ワシントン・ナショナル・ギャラリーなどのコレクションに収蔵されています。
▼公式サイトはこちらから
http://www.otto-dix.de/start_html
▼オットー・ディクス・オンラインカタログはこちらから
https://www.ottodix.org/
▼ドイツ、ゲーラ市のオットー・ディックス・ハウス のサイトはこちらから
https://www.gera.de/sixcms/detail.php?id=15558