カラム・イネス
Callum Innes
1962年−
カラム・イネスは1962年、スコットランド・エディンバラに生まれた抽象画家です。グレイズ・スクール・オブ・アートとエディンバラ・カレッジ・オブ・アートに学び、1980年代半ばから作品の発表を始めました。
抑制と流動性との間で強い緊張感を持つ抽象的な作品は、キャンバスに塗り重ねた深みのある顔料の層をテレビン油でこすり落とし、絵具の一部を融解して水のような痕跡を残した後に再び塗り重ねるという、足し算と引き算のプロセスをとって制作されています。塗っては溶かし、塗っては溶かしという作業を何度も繰り返すことで、濃厚な顔料のパネルは強さを表現し、その一方で液化した絵具の小さな雫はその根底にあるもろさを表現しています。
このような素材に対する緻密なアプローチは、水彩画やパステル画においても見ることができます。イネスの作品は一見ミニマルで幾何学的を与えますが、実は常に微妙な「ズレ」があり、不完全に引かれた線や柔らかな形に支配されています。作品の持つ不完全さと人間性が画家としての技術や精密さと対比され、結果として詩的で瞑想的な力を醸し出すのです。これこそが、同世代の最も重要な抽象画家のひとりとして、イネスの地位を確固たるものにする理由なのです。
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http://www.calluminnes.com/