カレン・キリムニック
Karen Kilimnik
1955年−
カレン・キリムニックは1955年、アメリカ・ペンシルベニア州に生まれた現代アーティストです。活動初期である1980年代に、床面にさまざまな素材を散乱させて作品を作り上げるスキャッターアートでその名が知られるようになりました。この頃のインスタレーションの多くはイギリスのカルトテレビ番組の特定のエピソードをもとに制作されており、キリムニックの「スキャッター(ばら撒く)」スタイルを象徴するものでした。その後は絵画も手がけるようになり、1990年代初頭には具象絵画復活の主唱者のひとりとなり、音楽、映画、ファッション、王侯貴族などの世界から生まれた半虚構の人物や、実在するセレブリティなどのポートレートで注目を集めました。
キリムニクの作品は一見、被写体に執着しているように見えますが、興味を持っているのは表向きの人間像ではなく、彼らの個性なのです。キリムニクが創り出す世界は、例えば20世紀の戦争で移り変わる領土の境界を彩る地図のシリーズなど大きな出来事から、イギリスのカントリーハウスやデルフト陶器、妖精などの一般的なテーマまでもが同時に描き出されます。時にそれらの作品は、入念に作られた舞台装置の中に入り込み、観るものがあたかも彼女の自己完結した世界の一部であるかのように体験できるインスタレーションに似た演劇的な環境をも作り出しています。キリムニクの作品はニューヨーク近代美術館、ピッツバーグ・カーネギー美術館、ホイットニー美術館、ロサンゼルス・ハマー美術館などアメリカの著名美術館に収蔵されています。