キース・ヴァン・ドンゲンは印象的なアーモンド形の目をもつ女性の肖像、ブルジョアたちが余暇を楽しむシーンなどの鮮やかな絵画や版画で知られるフォーヴィスト(野獣派)のアーティストの一人です。彼の作品には、フランスの女優ブリジット・バルドーなどのファッショナブルな有名人を描いたものもあります。
『大事なことは、ほっそりと女性をスリムにすることです』彼はモデルについてこう語りました。
『そしてつぎに、彼女たちのジュエリーを より大きくすることです』
キース・ヴァン・ドンゲンは1877年1月26日オランダのロッテルダム、デルフスハーヴェンで生まれました。ロッテルダムの王立芸術アカデミーで学び、そこで彼はレンブラントからインスパイアされ 落ち着いた色合いの風景画などを描いていました。1897年にパリに移り、モンマルトルのバーやキャバレーに足繫く通うようになります。そしてアンリ・マティスやモーリス・ド・ヴラマンク、アンドレ・ドランらとともにフォーヴィスト(野獣派)に属し、鮮やかな色彩や表現豊かなラインは 彼のスタイルに必要不可欠なものとなってゆきました。1920年代頃から、上流階級の女性たちから肖像画を描いて欲しいとリクエストが相次ぎ、ヴァン・ドンゲンは肖像画家として社交界で有名になりました。その頃彼はパリ17区の邸宅で暮らし、定期的に個展を開催、そこはパリ社交界の人々の集いの場として賑わいました。ヴァン・ドンゲンは1926年にレジオンドヌール勲章を、1927年にはベルギー王冠勲章を受賞しました。
17区のアトリエで仕事を続け、1968年モナコのモンテカルロで91歳で亡くなりました。
現在彼の作品は ニューヨーク近代美術館、アムステルダム国立美術館、ワシントン・ナショナル・ギャラリー、パリのオランジュリー美術館などにコレクション収蔵されています。