ケネス・ノーランド
Kenneth Noland
1924年−2010年
ケネス・ノーランドは1924年、アメリカ・ノースカロライナ州に生まれた抽象画家です。実験的な芸術を基礎にしたリベラルアーツ教育を行った学校「ブラック・マウンテン・カレッジ」に入学し、ヨーゼフ・アルバースやイリヤ・ボロトウスキーのもとでバウハウス理論や色について学び、その後パリに渡って彫刻を学びます。パウル・クレーに影響を受け、早い頃から色と幾何学模様との情動的効果に興味を示していたノーランドの線と色へのこだわりは、後の作品にしっかりと表現されています。初期の頃には様々な形にカットしたキャンバスにV字、ダイヤモンド、格子縞などのパターンを、色鮮やかにそしてリズミカルに描き出し、後に色の層が厚い同心円のオーブを小型のキャンバスに描くようになり、「カラーフィールド・ペインティング」と呼ばれた動向の代表作家の一人となりました。
ノーランドは筆でキャンバスに色を乗せるのではなく、キャンバスを染色する方法で制作しています。絵画全体で使われている色との対照として染色されていない部分をキャンバスに残すことで、作品の空間的な関係を強調しているのです。1964年にはヴェネツィア・ビエンナーレに出品され、1977年にはグッゲンハイム美術館で回顧展が行われたほか、メトロポリタン美術館やMomaなど各所で開催されたグループ展にも多数出品しています。