サリー・ミシェル・エイブリー
Sally Michel Avery
1902年−2003年
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サリー・ミシェル・エイブリーは1902年、ニューヨークのブルックリンで生まれたアーティストです。同じく画家であるミルトン・エイブリーの妻であり、夫の下積み時代には商業イラストレーターとして家族を支えていました。二人は共によく似た技法で、フォービスムの鮮やかな色彩に彩られたシンプルなフォルムを用いて描写していますが、ミシェルの作品はミルトンの作品より小さく、より厚く描かれているのが特徴です。
夏になると家族で頻繁に旅行に出かけ、旅先での風景はミシェルに多くのインスピレーションを与えました。水彩と油彩で日常生活を表現力豊かに、叙情的に描くことにキャリアを費やしたミシェルの作品は、アンリ・マティスに似たフラットな全景と背景、そして配色で、「パリのモダニズムのアメリカのフォークアート版」と呼ばれています。そのことは、ニューヨークにおいてヨーロッパ絵画とは異なる独自の絵画が誕生するきっかけにつながったと言っても過言ではありません。2003年に100歳で亡くなるまで生涯をかけて描き続けたミシェルの魂は今、画家となった娘のマーチに宿っています。