ジャン・アルプ(ハンス・アルプ)
Jean/Hans Arp
1886年−1966年
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ジャン・アルプは1886年、フランス・アルザス地方に生まれた彫刻家、画家、詩人です。ワイマールやシュトラスブルク、アカデミー・ジュリアンなどいくつかの学校で芸術を学ぶもその伝統的な教育などすべてに満足できず、専ら新しい芸術表現の可能性を模索しながらヨーロッパ各地を回ります。パブロ・ピカソ、パウル・クレー、マックス・エルンストなど同世代の多くの芸術家たちとの交流を持つ中、スイス人芸術家で後に妻となるゾフィー・トイバーとの出会いが、アルプ自身の方向性を定める重要なものとなりました。1916年にはチューリッヒに拠点を移し、トリスタン・ツァラらとともにダダイズム運動を始めると、戦争や既存の社会的な美的規範に反抗し、ありとあらゆる手段による表現方法が、伝統的で退屈でしかなかった芸術界に衝撃を与えます。
1927年にはパリで初の個展を行い、この頃からアルプの作品の中でも著名な曲線や丸みを帯びた有機的な不定形をもつ具象彫刻の制作を始めます。途中妻の死によるショックから制作を中止した時期もありましたが、再起後は精力的に活動し、石膏や大理石やブロンズなどを使った彫刻や、アッサンブラージュやコラージュなどの平面作品も数多く制作し、ヴェネツィア・ビエンナーレ彫刻部門賞やフランス芸術大賞を受賞するなど、大きな功績を残しています。