スティーブ・シャピロは 『ゴッドファーザー』(1972年)や『タクシードライバー』(1976年)などの印象的な映画のスチール写真や、デヴィッド・ボウイやジェームズ・ボールドウィンのポートレートなどでも知られ、1960年代と1970年代の最も重要な歴史的出来事を撮影したアメリカの写真家であり、フォトジャーナリストです。
1934年にニューヨークに生まれたシャピロは、9歳の時サマーキャンプで写真と出会いました。カメラの可能性にワクワクしたシャピロは、ニューヨークの街を歩き回り、尊敬するフランスの写真家アンリ・カルティエ・ブレッソンの作品を模倣しようと試みました。その後 著名なフォトジャーナリストであるW.ユージン・スミスの下で学び、写真家として成功するために必要な技術はもちろん、彼の人間観や世界観にも深い影響を受けました。シャピロが生涯に渡り社会派ドキュメンタリーへの関心を持ち続け、一貫して被写体への共感的な描写を続けていたのは、スミスと過ごした日々から写真に対する人間的なアプローチを育んだ結果と言えます。
1961年以降シャピロはフリーランスのフォトジャーナリストとして活動を開始し、彼の写真はLifeやLook、Time、Newsweek、Rolling Stone、Vanity Fairなど様々な雑誌のページや表紙で国際的に紹介されています。活動家であると同時にドキュメンタリー作家でもあるシャピロは、雇用と自由のためのワシントン大行進や、有権者登録の推進、セルマからモンゴメリーへの行進など 公民権運動に関する多くのストーリーを取材しました。1970年代には映画界に目を向け『ゴッドファーザー』や『タクシードライバー』『ランボー』『真夜中のカーボーイ』『ビリー・マディソン』『追憶』など様々な作品の広告物や宣伝用スチール、ポスターなどを制作しました。またデヴィッド・ボウイやバーブラ・ストライサンドなどのミュージシャンとコラボレーションし、レコードジャケットや関連アートの制作も手掛けています。1969年にメトロポリタン美術館で開催された「Harlem on my Mind」展で写真が展示されて以来、シャピロの写真はアメリカをはじめ、スペインやロシア、ドイツなど世界中の美術館やギャラリーでも展示されています。2017年にはフォトジャーナリズムにおける功績を称えるルーシー賞を受賞しました。
スティーブ・シャピロは2022年シカゴにて亡くなりました。現在彼の作品はニューヨークのメトロポリタン美術館、ロサンゼルスのJ.ポール・ゲティ美術館、アトランタのハイ美術館、スミソニアン博物館 など多くの個人およびパブリックコレクションに収蔵されています。
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