バーナード・リーチは1887年に香港で生まれたイギリス人陶芸家です。幼い頃日本で数年間過ごし、イギリスに帰国後はロンドンの美術学校でエッチングを学びます。当時ロンドンへ留学中だった高村光太郎と知り合うと日本に郷愁を抱くようになり、1909年に再来日を果たすと上野に居を構えてエッチングを指導します。同時期に柳宗悦ら白樺派の人々と親交を得ると陶芸に興味を持つに至り、六代目尾形乾山に入門。その後は日本各地で作陶を行いました。1920年に再びイギリスに戻り、登窯を築いた工房リーチ・ポタリーを構えて生涯の拠点としました。

スリップウェアなどの西洋陶器と東洋陶磁の技術を融合させた独自の作風が特徴的で、純粋芸術としての陶芸でなく実用的な日用品としての陶器づくりに重きを置き、この制作スタイルは1950年代から60年代のアメリカで、カウンターカルチャーやモダニズムデザインに大きな影響を与えました。リーチのもとには世界中から弟子を志願する陶芸家たちが集まり、その様式と信念を持ち帰って世界に広げていきました。