フィリップ・ハルスマンは1906年、ラトビアのリガに生まれた写真家です。15歳の時に初めて手にした父親のビューカメラの魅力に取り憑かれ、家族の写真をとり続けるうちに、人間の顔が持つ様々な表情に興味を持つようになりました。18歳で工業を学ぶためにドイツのドレスデンに留学しますが、数年後パリに移り写真家になることを決意。モンパルナスにスタジオを構え、1930年代のパリに集っていたル・コルビュジエやマルク・シャガールら芸術家や俳優などのポートレートを撮り、「ヴォーグ」や「ヴュ」などの雑誌で発表していました。ハルスマンのポートレートは従来のソフトフォーカスのものとは一線を画した、コントラストの強い写真を特徴としていました。
1940年、ナチスのフランス侵略により、ヨーロッパを脱出し、ニューヨークへ移住します。その翌年、サルバドール・ダリと出会うと37年にわたって共同制作を行い、ユーモラスな写真の数々を残しています。また「ライフ」誌の表紙の撮影は、ひとりのカメラマンが撮影した回数としては最多の101回にわたって手掛け、その中にはマリリン・モンローやルイ・アームストロングなど20世紀を彩る著名人のポートレートが多く含まれています。
1959年出版の「Philippe Halsman’s Jump Book」は、「人にジャンプしてもらうとその人の意識のほとんどがジャンプすることに向けられ、仮面が落ちて本物の人が現れる」とジャンプ写真の哲学を「Jumpolpgy(ジャンプ学)」と名付け、それについての皮肉な考察と178人の有名人がジャンプした姿が収められた、ハルスマンの代表作となっています。
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