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フェリックス・ゴンザレス=トレスは1957年、キューバ・グアイマロに生まれたアーティストです。プエルトリコ大学で美術を学び、同時に地元のアートシーンに積極的に参加。1979年には奨学金を得てニューヨークへと渡り、1986年にホイットニー・インディペンデント・スタディ・プログラムで、社会の諸問題を芸術に組み込むポストモダンの理論を学んだことが、アーティストとしてのその後の成長に大きな影響を与えるものとなりました。
1987年から前衛集団「グループ・マテリアル」に参加すると、中心メンバーであるダグ・アシュフォードやティム・ロリンズらとともに様々なアーティストとコラボし、展覧会を通じてジェンダーや政治問題に関するメッセージを発信しました。代表作のひとつである1991年の作品「Untitled(Portrait of Ross in L.A.)」は、多色のセロファンに包まれたキャンディの山で構成されています。その重さは、同年にエイズで他界したトレスのパートナーであるロス・レイコックの健康時の体重である175ポンドとなっており、来場者が自由に取ることができるようになっています。その後キャンディを補充するかどうかはアートハンドラーに委ねられるというもので、これは世界中の複数の美術館で現在も展示されています。時にカニバリズムであるとか宗教的であると表現されるこの作品は、キャンディを持ち帰ることでロスを連れて帰ることになり、彼を遍在させることになると指摘されています。トレス自身もエイズ合併症で38歳という短い人生に幕を閉じましたが、死後も各地で回顧展が開かれており、その人気の高さを物語っています。
▼公式サイトはこちらから
https://www.felixgonzalez-torresfoundation.org/