1892年に生まれたドイツの芸術家フリードリヒ・シュレーダー・ゾンネンシュターンは、アール・ブリュットやアウトサイダー・アート史において最も重要な人物のひとりとされています。幼少時代の素行の悪さと奇抜な行動から収容所に送られた経験が生涯にわたる権威に対する憎悪を醸成することとなり、47歳で絵を描き始めるまではオカルト教団の教祖、密輸業、占星術師など次々と怪しげな職業を始め、時には詐欺で捕まって収監、あるいは精神病院への入退院を繰り返していました。同じ病院に入院していた画家の勧めで作画を始め、その作品がアンドレ・ブルトンの目に留まり、60歳を過ぎた頃に画家として名声を博します。

1959年にパリで開催されたシュルレアリスムの展覧会で20世紀で最も印象的な芸術家のひとりとして称賛され、とりわけジャン・デ・ビュッフェから高く評価されました。螺旋や渦巻きやハートが多用され、蛇などの生物や体の一部がいびつなシンメトリーで描かれる幻想的でエロティックな画風は、瀧口修造や澁澤龍彦らを魅了しました。