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ARTIST/ART

マルティン・ラミレス
Martin Ramirez
1895年-1963年

マルティン・ラミレスは独学のメキシコ人アーティストです。
個人的で文化的な図像、風変わりなシンボルなどに基づくパターンと反復の世界を提示した独特でシュールな作品で知られています。塔やファサード、十字架を載せたドームや屋根付きアーケードなど 彼の作品に登場するモチーフは彼の母国メキシコの文化と 半生を過ごしたアメリカ文化の融合的表現などとも言われます。

ラミレスは1895年メキシコ、ハリスコ州テパティトランに生まれました。1925年ラミレスは家庭を支えるため 仕事を求めアメリカに移住します。炭鉱や鉄道建設の労働者として6年間働いていました。しかしメキシコではクリステロ戦争が勃発、彼の生家は破壊され飼っていた動物たちも失い、誤解から家族とも仲違いしてしまいました。そして大恐慌のさなか他の労働者たちと同様ラミレスは職を失い、やがてホームレスとなります。もともと精神疾患を患っていたこともあり 警察にされた際に英語で状況を説明できず医療施設に連行されラミレスは緊張性統合失調症と診断されました。そしてその後、亡くなるまでの30年間を彼は精神科施設で過ごします。
何度も出たり入ったりを繰り返しましたが、1935年頃より彼は施設の中で絵を描き始めます。紙袋や検査用紙、本などをオートミールと唾液で作った糊で張り合わせ その場で可能な限り手に入るものを利用してドローイングやコラージュを作成しました。
ラミレスの並外れた作品に最初に興味をもったのはカリフォルニア州立大学の芸術と心理学の教授タルモ・パスト(Tarmo Pasto)でした。パストはラミレスに画材を提供し、大学で彼の作品の展示を行い、1955年にはソロモン・R・グッゲンハイム美術館に10枚の絵を送りました。そしてパストはラミレスの代表的な作品の一つである『無題(Alamentosa)』を含む1950年代の彼の作品の大部分を文書化し、保存しました。

マルティン・ラミレスは1963年カリフォルニア州オーバーンにて結核で亡くなりました。

1973年にシカゴ・イマジストのグラディス・ニルソンとジム・ナットがフィリス・カインド・ギャラリーでラミレスの作品の個展を開催し、これをきっかけにラミレスの知名度は高まり始めました。2007年にはニューヨークのアメリカン・フォーク・アート・ミュージアムで回顧展が開催されました。
また近年ではユニクロとのコラボレーションでも知られるフランス人デザイナー、クリストフ・ルメールが自身のブランド『LEMAIRE (ルメール)』で前シーズンに引き続き ラミレスの作品を取り入れた2021春夏コレクションを発表しており、今後のコラボレーションにも前向きな思いを示しています。生前にはほとんど知られることのなかったラミレスですが、その奥深い魅力は今も幅広い分野のアーティストやクリエイターたちに影響を与えています。

現在ラミレスの作品は ワシントンD.C.のスミソニアン・アメリカ美術館、ニューヨークのアメリカン・フォーク・アート・ミュージアム、スイスのベルン美術館、ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館などのコレクションに収蔵されています。

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