マーク・グロッチャンは1968年、アメリカ・カリフォルニア州パサデナに生まれ、現在はロサンゼルスを拠点に活動する画家です。バークレーにあるカリフォルニア大学で美術学修士号(MFA)を、ボールダーにあるコロラド大学で美術学士(BFA)を取得し、芸術家としてのキャリアをスタートさせました。抽象画と大胆な幾何学的絵画で広く知られ、1990年代初頭に色鉛筆を使ったドローイングと二次元と複数の消失点に焦点を当てた遠近法を用いた油彩の制作を、そして2001年にはバタフライシリーズの制作を始めます。このシリーズではカジミール・マレーヴィチの構成主義、ブリジット・ライリーのオプ・アート、バーネット・ニューマンのジップをほのめかしつつ、幾何学模様が伸縮し、近づいてくるような錯覚を生み出すために、複数の消失点を持つ透視画法的な研究や、ルネサンス以降に用いられた視点技法を利用した蝶のパターンを描いています。
2008年、スキー中の事故で肩を骨折してからは長時間にわたる塗装作業が難しくなり、バタフライシリーズの制作を中止します。技法の変更を余儀なくされ、マスクをかたどった彫刻作品の制作に注力します。ボール紙で作られたアッサンブラージュによるブロンズ製の鋳物は、2000年ごろからグロッチャンがプライベートワークとして手がけてきたものです。表情豊かで色とりどりの作品は何とも言えない魅力を醸し出し、その表面は不規則に積み重ねられたサインやイニシャルで覆われています。グロッチャンは模造や制作というプロセスを経由して指示対象から美的な除去を確立し、結果として非の打ち所のない原始的な強さと、洗練されていながらも人の心を引きつけるアピールの両方を見事に証明しています。
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