ミリアム・カーン
Miriam Cahn
1949年−
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ミリアム・カーンは1949年バーゼル出身で、現在もバーゼルを拠点としヨーロッパを中心に活動する女性アーティストです。バーゼル美術学校に学び、当時盛んだったフェミニズムやパフォーマンス・アート、反核運動などの社会的動向に影響を受け、1970年代から作品の発表を始めます。1979年から1980年にかけて屋外の建物に直接描いたドローイング作品で注目を集め、1982年にドグメンタ7、1984年にはヴェネツィア・ビエンナーレへの参加を経て、スイスを代表する国際的アーティストのひとりとしての立場を確立します。
1985年から制作された水彩シリーズでは、自らと同じユダヤ系の科学者が原爆開発と投下反対の両方の立場にいた歴史的背景から、原爆をめぐる「美」と「倫理」の葛藤を主題に描かれています。1994年頃からは油彩も多く手掛け、勢いのある筆致と鮮やかな色彩で、人や動植物、建築物が描かれているほか、近年は絵筆を使わず手で直接描く作品も制作しています。