モーリス・ユトリロ
Maurice Utrillo
1883年−1955年
モーリス・ユトリロは1883年、パリのモンマルトルに生まれ育った画家です。家庭環境に恵まれず、幼い頃からアルコール中毒に陥り、その治療の一環として行っていた描画が評価された事から画家として歩み始めます。多くの芸術活動が起こった時代を生きながら、一貫して描き続けたのは小路や教会、運河など身近なパリの風景。作中のありふれた街の風情は不思議な詩情と静謐さに満ちています。
作品は「印象派時代」、「白の時代」、「色彩の時代」と分類され、ユトリロの画家としての絶頂期として高く評価されるのは白の時代の作品です。この時期、油絵具に石灰や砂、卵の殻などを混ぜ、年代を経た漆喰の質感を独特の白で表現するとともに、自らの心に渦巻く苦悩や葛藤、孤独をそこに塗り込めていきました。ユトリロは若くして成功をおさめたもののアルコール依存や精神病で入退院を繰り返し、その生涯は悲劇に満ちたものでした。生涯を過ごしたモンマルトルにある彼の墓には、今も献花が絶えません。
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http://www.utrillo.com/