ユン・ジョンミはソウル生まれ、韓国を拠点に活躍する写真家です。1992年にソウル大学芸術学部を卒業し、1999年に弘益大学大学院修士課程を修了しました。
女の子はピンク、男の子はブルー、そんな固定観念を写真にとらえた彼女の代表的なプロジェクト作品『The Pink and Blue Project』は2005年にスタートしました。当時5歳だった自分の娘が 何でもピンク色のものを欲しがる様子を見て ユンはこのプロジェクトを思いつきました。娘に見られるそのこだわりは、個性の表れというよりも、社会に蔓延する消費主義の影響によるものではないかと考えたのです。子どもをターゲットにした広告の影響力を目の当たりにしていた親の一人として、性別によって特定の色に偏った子供時代を送ることが、長期的にどのような影響を及ぼすのだろうという疑問を抱いたのです。
このプロジェクトでユンは ソウルやニューヨーク、ニュージャージーの街角や地下鉄で出会った子どもたちを被写体に、最初に撮影してから五年後、成長した彼/彼女らの元を訪ねて再びカメラに収めました。成長と共に 色と性別の結び付きが緩やかになっていくという変化が見られましたが、ピンク/ブルーを基準にした特定のカラーコードが残っていることも多かったのです。そしてさらに年月を経て、表面を飾っていた色が消えた後の子どもたちに、より深く踏み込んだ新たな作品を加えた『The Pink and Blue Project』は第3段に突入し、ユンはこれを「ジェンダーと結びつけられた色の概念を10年にわたって追った集大成」と位置付けています。
子どもたちの成長と共に見られる変化から、ジェンダー・アイデンティティーや社会規範、消費文化やメディアとの関連性を明らかにしたこの作品で、ユンはILWOO財団賞を受賞しました。
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