リチャード・プリンスは1949年、パナマ運河地帯で生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動するアメリカの写真家・画家です。1970年代半ば頃からマスメディアや広告、他のアーティストの作品などから、既存のイメージを利用（あるいは流用、盗用）し、自分の作品の中に取り入れる「アプロプリエーション（シュミレーショニズム）」という手法で制作しています。作品には時代を象徴する消費されるイメージが積極的に取り込まれ、著作権や肖像権の問題が取り沙汰されるも、批判や炎上も作戦として折り込み済みで、常にアートの世界を賑わせています。

1980年にニューヨークで初の個展を開催以降、ヴェネツィア・ビエンナーレやドグメンタに出展、さらには世界各国での展覧会を行うなど活躍の場を広げています。2003年に発表された代表作のひとつである「Nurse Paintings」は、ロマンス小説のカバーをコラージュしたシリーズで、表紙の上からインクジェットプリンタで下地を作り、その上から絵具を塗る独特なスタイルで制作されています。近年では、インスタグラムに投稿された赤の他人の画像をキャンバスに転写し、コメント欄に手を加えて自分の作品として作り上げて販売し物議を醸しました。美術評論家はプリンスを「困らせる天才、煽りの天才」と呼んでいます。

 

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http://www.richardprince.com/